2016年度 第52回 受賞作品
日本農業新聞賞
運転手さんのおもてなし
福岡市 元岡小学校5年古莊 蒼咲
「すごい。これがおもてなしだね。」
タクシーからおりて、ぼくと兄と母は、うれしい気持ちになりました。こんな運転手さんに会ったのは、初めてでした。
一月二日と三日に、ぼくと母と兄で、鳥取県に旅行に行きました。鳥取砂丘コナン空港から鳥取砂丘に行くことになったのですが、バスの本数が少なかったので、タクシーで行くことになりました。運転手さんが、
「わたしは、鳥取県観光マイスターの資格を持っているんで すよ。」
と言ったので、ぼくは最初、自まんしているのかなと思いました。
鳥取砂丘が近づいてきたので、ふつうにお金を払っておりる準備をしていたら、運転手さんが、
「代金は、ここまででいいので、ちょっと周辺の案内をしま すね。」
と言いました。鳥取砂丘の中に入らなくても、砂があるところがいっぱいあって、
「これも鳥取砂丘の砂なんだよ。」
と教えてくれました。他にも、砂丘で働いているラクダの宿舎につれていってくれて、九頭のラクダが帰ってくるところが見れました。その少し先に行くと、砂丘らっきょうの畑がありました。十一月ごろだったら、畑一面にむらさき色の花がさくそうです。最後に、
「砂丘までは、このリフトに乗っていくといいですよ。」
と言って、リフトのり場の前につれて行ってくれて、リフトの無料券をくれました。リフトで砂丘に行って、砂丘を何回ものぼって楽しかったし、運転手さんのおかげで、砂丘らっきょうの畑やラクダの宿舎も見ることができて、鳥取をまんきつすることができました。
「運転手さん、すごかったね。」
タクシーをおりてしばらく、ぼくと兄と母は、運転手さんの話をしていました。二〇二〇年の東京オリンピックが決まったとき、「おもてなし」という言葉が話題になりましたが、よそから来た人をおもてなしするのは、ごうかな設備や料理などではなく、その土地のいい所を知ってもらいたいという気持ちなんだ、と思いました。
ぼくが住んでいる元岡のいいところは何だろうと考えました。自然がいっぱいで、学校に行く途中の川に魚やカモがいたり、学校にカニがいたり、近くで牛が飼われていたりするところ。
九州大学がすぐ近くにあって、外国の人も多いところ。すぐとなりが糸島で、糸島の野菜は全国的にも有名なくらい、新鮮でおいしいこと。元岡のトマトやいちごなどの特産品もおいしいこと。いいところがたくさんあると思いました。ぼくも、あの運転手さんみたいに、自分が住んでいる町のいいところを、いろんな人に伝えられるようになりたいと思います。