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「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2025年度 第61回 受賞作品

日本農業新聞賞

背中を追いかけて

北九州市立  尾倉中学校2年永瀬 知奈実

  「ざわざわ。」
教室の前に立った瞬間、耳に届いたのは次々と飛び交う熱のこもった話し声だった。夏休みに参加した高校のオープンキャンパスで、私が最初に感じたのは、その空気の違いだった。中学二年生の今の自分が過ごしている教室とはまるで別の世界のように感じられ、思わず背筋がのびた。
 教室の中では、高校生の先輩たちがグループになり、授業のテーマについて積極的に話し合っていた。ただ先生の話を聞くだけではなく、自分の考えをはっきりと伝え、相手の意見にうなずきながら、さらに話を深めていく姿がとても印象的だった。最初はその様子を見て、「私にはまだ無理かもしれない。」と少し不安な気持ちになった。しかし、その気持ちと同時に、先輩たちの表情がとても爽やかで楽しそうだったことが心に残っている。
 私は普段の学校生活で発表や話し合いの場になると、つい自信がなくなり、発表をためらってしまうことが多い。間違えたらどうしよう、変に思われないだろうかという考えが頭をよぎり、手を挙げる勇気が出ないこともある。だからこそ、自分と同じように中学生だったはずの先輩たちが、堂々と意見を述べている姿を見て、大きな衝撃を受けた。さらに、自分もいつか先輩たちのように、意見を強くもち、主張できるような人になりたいという憧れを抱いていた。
 オープンキャンパスでは、先輩が学校生活について話してくれる時間もあったが、その中で「最初はだれでも不安だけれど、少しずつ挑戦することで自信がついていく。」という言葉が特に心に残った。その言葉を聞いたとき、先輩たちの今の姿は”特別な人だから“ではなく、努力を積み重ねてできた結果なのだと気づいた。また、授業見学を終え、移動をしている途中、生徒会執行部の先輩から声をかけられた。私は極度に緊張していたため、話しかけられても思うように話せなかった。しかし、その先輩は、私の緊張をほぐそうと、笑顔を絶やさずたくさん話しかけてくれたのだ。校内では、生徒会執行部の先輩たちがすれ違う人全員に、気持ちのよいあいさつをしている姿が見え、生徒一人一人の行動や気持ちが、この学校の良い雰囲気作りとなっていることに気づいた。
 帰り道、私はオープンキャンパスで見た先輩たちの背中を何度も思い出していた。自分も、あの高校に進学し、あの教室で仲間と共に学び、いつか後輩に憧れられるような存在になりたいと、強く感じたのだ。
 これから、何か壁にぶつかったとき、先輩が教えてくれた言葉を胸に、乗り越えようと思う。そのためには、今の自分から少しずつ変わっていくことが大切だ。
 この経験から、授業や話し合い、グループ活動などの場で、勇気を出して自分の意見を伝えることに挑戦したい。失敗を恐れず、一歩踏み出すことで、先輩たちに近づけると信じている。夏休みのオープンキャンパスで見た爽やかな先輩たちの姿を目標にし、学校生活を大切にしながら、自分自身を成長させていきたいと強く思った。それ以外でも、高校の雰囲気を見習い、学校生活に活かしていきたいと思う。
 さらに私は、オープンキャンパスを通して、「高校生活」というものを具体的に想像できるようになった。これまでは、高校はただ勉強が難しくなる場所だという漠然としたイメージしかもっていなかった。しかし、実際に先輩たちの学校生活の様子を見ると、高校というところは、自分の考えを深め、人と関わりながら成長できる場所であったのだ。先輩たちが真剣に話し合う姿からは、自分の意見に責任をもち、相手を尊重する大切さが伝わってきた。
 また、先輩の話を聞く中で、部活動や行事にも全力で取り組んでいることを知った。実際に、部活動見学に行くと、顔の表情が変わっていて、それほど部活動に真剣に、全力で取り組んでいることが分かった。勉強だけでなく、仲間と協力しながら一つの目標に向かって行動する経験が、人としての成長につながっているのだと思う。そんな、充実した学校生活を送っている先輩たちの姿が、私にはとても輝いて見えた。
 オープンキャンパスに行く前の私は、将来のことをあまり真剣に考えておらず、高校受験もどこか他人事のように感じていた。しかし、今回の経験を通して、自分の将来は自分の行動次第で変わるのだと気づいた。
 私はまだ中学二年生で、できないことや苦手なことも多い。それでも、今の自分にできることから始めていきたいと思う。授業中に一度は発言してみること、友達の意見をしっかり聞くこと、小さな目標でも最後までやりきること。その積み重ねが、将来の自分につながるのだ。
 夏休みのオープンキャンパスで見た光景は、私にとって大きな転機となった。先輩たちの爽やかな姿や、活発な話し合いの様子は、今も鮮明に心に残っている。あのときに感じた憧れや決意を忘れず、先輩の背中を追いかけながら、自分自身の道を一歩ずつ進んでいきたい。

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