2025年度 第61回 受賞作品
日本農業新聞賞
有罪、無罪、O先生
福岡市立 香椎小学校5年服部 恵茉
私の担任のO先生の罪深さについて告発する。
まず、O先生はかっこよくて(自称)給食が大好きでチーターより足が速くて、全知全能で少々きびしいが、優しい先生だ。なぜ全知全能かというと、国語、算数、理科、社会の授業全て楽しくて、分かりやすく、体育ではチーターより速い足の力を発揮する。だから、O先生は小学校時代はさぞモテたと思う。音楽では一度聞いた曲をピアノで演奏できる。だから全知全能。
そんなO先生のきびしいところは「しめ切り」と「おし返す力を求めている」ところだ。一つめの「しめ切り」というのは、私のクラスでは、漢字を自主的にすすめるが、それにはしめ切りがつきまとってくる。そしてそれが苦しい。一日一ページすすめなければ地獄の始まりだ。中休みをつぶして漢字をしなければならない。漢字から逃げても無駄だ。チーターより足の速い先生に捕まって昼休みをつぶして漢字づけにされる。つまり、漢字に限らずO先生はしめ切りの鬼なのだ。
二つめの「おし返す力を求めている」というのは私達がチャイムが鳴っているのに席に着かなかった時の事だ。先生は言った。
「時間を守らないのなら、時計は要りません。」
そう言って、時計を没収してしまった。私達は困惑した。時間を守らないなら時計没収なんて想定外の出来事だったからだ。でも、このままではいけないと皆で話し合った。話し合いの結果、何か行動を示そうという事が決まった。行動、という事から時間を守ったり、提出物を出したりするなど、先生に言われてきた事を全てした。すると先生は誇らしそうに時計を戻してくれた。返してもらうまではとても大変だったけど心を一つにして、自分達で同じ目標に立ち向かい解決すること。これこそおし返す力だ。
このようにO先生はきびしい。が、これが最初に書いた「罪」ではない。楽しくておもしろい全知全能授業に、しめ切りを守るという当たり前だけど難しい力を成長させてくれたり、具体的な指導をせずにみんなが一つになる力を成長させる、そんな全知全能さを味わわせてしまった。これが罪。私達はまだ学校生活を五年しか生きていない。今後、高校までいくとして、たった五年で全知全能、最高の先生を知ってしまった。この先の学校生活に不安を感じる。でもO先生に出会えた私達は運がいいかもしれない。なぜならO先生に会えない未来の子供達もいるからだ。そんな子供達がかわいそうでたまらない。仕方ない…。私が立ち上がろう。実は私、O先生の事を観察しつづけていた。多分大学生の時にO先生は好きな女子に告白できなかったであろうこともかんづいている。ここまで吸収できている私は次の、いやO先生を超える全知全能教師になれる予感。未来の子供達、安心してくれ。だから私は今、必死に勉強をするつもり。そんな強い気持ちで漢字の宿題をにらみつけている。