ホーム > 小・中学生作文コンクール > 全共連福岡県本部運営委員会会長賞 > 日記と私

「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2025年度 第61回 受賞作品

全共連福岡県本部運営委員会会長賞

日記と私

飯塚市立  庄内中学校3年山下 雛

「給食で出た揚げパンが美味しかった。」
「今日はお母さんと喧嘩しちゃいました。」
これは私が小学校四年生から小学校を卒業するまで書いていた日記の内容の一文です。もうすぐ新年になる中、私は自分の部屋の大掃除に取り組んでいました。その時に見つけた日記帳。長い間引き出しにしまい込んでいたので表紙は汚れてしまっていましたが、内容は問題なく読むことができました。三冊にも及ぶ日記帳は日記帳兼連絡帳という感じでした。私の小学校では連絡帳に明日の時間割と持ってくるものを書き、その下に日記を何文か書いて提出するという形でした。
 しかし、小学校四年生に進級すると提出しなくてよいことになり、日記も書く必要がなくなりました。当時は日記を書くこと自体面倒くさく思っている子がほとんどだったのですが、私は日記を書くことが好きでした。その日あったことを思い出しながら自分の想いを文字にして担任の先生に伝える。日記を書くことは私にとって一日を振り返ることのできるかけがえのない時間でした。また、日記が担任の先生との唯一の個人のつながりのように感じていたので「先生とのつながりがなくなる」とショックだった記憶もあります。そのため私は自分だけの連絡帳を買って、毎日日記を書き、先生に提出するようにしました。内容は連絡帳を提出していたときに書いていたものとなんの変わりもありません。「今日は家族と公園で遊んだ」とか「映画を見て泣いてしまった」とか。たまに先生が日記の内容に関するイラストを書いてくれていたり、シールを貼ってくれていたりしたときは飛び上がるほど嬉しかったです。
 四年生から五年生に進級して数日が経った頃、とある女の子の友達の前で日記帳を提出したことがありました。友達は私が提出しなくていいものを自分から提出していることに疑問を感じていたようでした。そんな友達に「日記を書くことで一日を振り返ることができるし、先生に自分の気持ちを伝えられるでしょ?」と言うと、友達は納得したような顔になるどころか逆に眉をひそめました。「それって結局、雛ちゃんの自己満じゃん。提出をしなくしたのだって先生の負担を減らすためでしょ?意味ないじゃん。」ガツン。突然頭を何かで殴られたように感じました。その日はペンを持っても日記を書くことができず、私は、初めて日記帳を提出しませんでした。そんな日が何日も続き、先生さえも避けるようになってしまいました。
 そんな生活を続けていたとき先生から、「少しお話しよう。」と声をかけられ二人きりで話す機会がありました。内容は「どうして日記を提出してくれなくなったのか。」私はどう答えたらいいか分からず数分黙っていましたが、話し始めました。友達に自己満だと言われたこと。それを聞いて日記を書くことを控えていたこと。度々言葉に詰まってしまいましたが、そのたびに「大丈夫だよ」と言ってくれました。私の話を聞き終わった先生はこう言いました。「私はね雛さんの日記を面倒くさいなんて思ったことないよ。雛さんのことを知ることができるのも楽しかったし。だからね、雛さんのペースでいいからこれからも日記を書いてほしいな。」その言葉を聞いた私は泣きそうになりました。それから家に急いで帰って久しぶりに日記帳を開きました。日記帳には私の文字と一緒に先生からの返信もびっしりと書かれていて、先生が私の日記を楽しんでくれているということはすぐわかりました。友達の言葉を鵜呑みにせず、これまで先生と交流し合ってきた日記帳を信じるべきだったと心の底から思いました。
 それから私は卒業まで日記を書き続けました。先生と話をした翌日、朝一番に先生の元へ行き、日記帳を手渡したときの笑顔は一生忘れないと思います。
 今はすべてSNSに頼りきり、書くという行為自体少なくなってきているのではないでしょうか。近年はラインなどで新年の挨拶を済ませてしまい、年賀状を書く人も少なくなってきているように感じます。パソコンやスマホばかりに文字を打っている、そんなあなたに私は日記を書くことをおすすめしたいです。一文でもいいんです。日記に書いたことは必ずあとで振り返ったときに自分を助けてくれます。支えてくれます。今私は受験生ですが、勉強がうまくいかないとき漠然とした不安があるときこの言葉を思い出すようにしています。「卒業まで日記を提出してくれてありがとう。もう中学生だね。中学校でも雛さんらしく頑張れ!先生はいつも応援してるからね」これは卒業式の前日に提出したときに書いてくれた返信です。この言葉はありのままでいいんだよ、と肯定してくれるように感じるし、私は一人じゃないということを教えてくれます。今だけじゃなくて昔からずっとこの言葉は私を助けてくれました。皆さんも日記を書けば自分の一生を支えてくれる、そんな言葉に出会えるかもしれません。大きな一歩を踏み出す勇気になってくれるかもしれません。私は今日も日記帳を開き、ペンを握り、日記を書いています。

ページ上へ