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「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2025年度 第61回 受賞作品

福岡県教育委員会賞

新たな世界

福岡市立  奈多小学校3年太田 晴貴

 ぼくは読書がきらいだ。そんなぼくとは反対で、兄は読書がすきだ。一日で五百ページくらいの小説を一人でぼっとうして読む。ぼくはそんな兄をながめることしかできなかった。
「へんだなぁ。ゲームをしている方が楽しいのに。」
 すると、急に兄はぼくにじまんげな顔で近付いてきた。
「読書がきらいなら、まずは短い本を読んでみたらいいよ。」
と、読書がきらいで本を読もうともしないぼくに、よけいなアドバイスをしてきた。ぼくがふまん気な顔でいると兄はそんなぼくの気持ちにも気付かず、兄が昔から大切にしている本を
「ぼくが大切にしている本だよ。感しゃしなよ。」
半ば強引に、ぼくの手の上に本を置いてきた。その反対で兄の目はどことなくやさしく温かく感じた。
「そんなに本が楽しいなら、ちょっと読んでみようかなぁ。」
と兄からもらった本をしばらく見つめ
「でも本当に楽しいかなぁ。」
と半信半ぎな気持ちで読み始めた。今まで読んだことがあるぐりとぐらのシリーズだった。ところが、ぐりとぐらが料理をする場面を読んだ時、ぼくの心は動いた。初めて
「本っておもしろい。」
と思えたしゅん間だった。文字を読むだけなのに、においや音まで伝わってくる気がして、物語の世界に入りこんだようだった。本は、知らなかった世界を教えてくれるものだと気付いた。
 それからぼくは、少しずつ本を手に取るようになった。文字ばかりでつまらないと思っていた読書が、物語の中に入りこむ楽しい時間にかわったのだ。
 ページをめくるたびに、新しい景色や気持ちに出会える。本は、ぼくが知らなかった世界へ連れていってくれるドアだと思う。あのとき、ぐりとぐらをすすめてくれた兄のおかげで、ぼくの前に新たな世界がひらいた。これからも本を読んで、もっとたくさんの世界を見つけていきたい。

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