2024年度 第60回 受賞作品
日本農業新聞賞
小さなネギ畑
福岡市立 西高宮小学校5年向江 彩乃
私のひいおばあちゃんは、九十六才で、ひとりぐらしをしています。同じ市に住む祖母の姉と、となりの市に住む祖母と、となりの県に住む祖母の兄に支えてもらいながらくらしています。
ひいおばあちゃんの家の庭には、車を二台とめられる位の広さの畑があります。昔は広い畑で、米やたくさんの野菜を育てていたそうです。私は小さい頃から庭の畑で、
「うんとこしょ、どっこいしょ。」
といいながら、野菜を収かくするのが楽しみでした。小さい私が畑の中を移動するのが大変な位、色々な種類の野菜がひしめきあって育っていました。
お正月、久しぶりにひいおばあちゃんに会いに行きました。ひいおばあちゃんは変わらず元気そうで、笑顔で出むかえてくれました。畑に行ってみると、畑のはじに私が両手を広げた位の広さにネギがちょこんと植わっており、畑の多くは黒いシートでおおわれていました。私は急に小さくなった畑におどろきましたが、以前はぎゅうぎゅうに野菜が育っていたのに、年々野菜が減り、歩きやすい畑に変わっていたことを思い出しました。
ひいおばあちゃんは私が小さい頃、
「うんとこしょ、どっこいしょ。」
と収かくするのを畑まで歩いて見に来ていましたが、最近は家の中で待っていることが多くなりました。以前は、近所の人とひなたぼっこをしながら家の前で長話をしている姿をよく見かけていましたが、最近は近所の人もしせつに入ったり、亡くなったりして、話し相手も少なくなり、家の中にいることが多くなりました。私が帰るときも、前は外に出て車が見えなくなるまで手をふって見送りをしてくれていましたが、お正月は居間でさようならのタッチをして、別れました。
お正月、小さくなった畑を見た後に、家のまわりを散歩していたら、大きなかれ木を見つけました。その木の幹は中に大きな空どうがあって、枝をさわるとくずれてしまいました。この木は死んでしまったのだなと思いましたが、よく見てみると、枝の先に小さな花のつぼみがたくさんついていることに気が付きました。この木が生きていることにおどろき、生命力の強さと大きなエネルギーを感じました。私は小さなネギ畑と花のつぼみには共通点があり、どちらも小さいけれど大きなエネルギーがあるように感じました。
ひいおばあちゃんは、年々家の中にいることが多くなり、元気がなくなってきているようで心配です。ですが、野菜を作りたいという思いがある限り、元気でいられるのではないか、と私は思いました。
私はひいおばあちゃんの畑の野菜は、元気のあかしだと思うので、来年もこの小さなネギ畑が見られることを願っています。