2024年度 第60回 受賞作品
全共連福岡県本部運営委員会会長賞
里いもの知恵
行橋市立 稗田小学校6年中吉 帆月
「お母さん、これ何。」
私は、初めて里いもの芽を見てびっくりした。ニュッと、鬼の角のように伸びていておもしろい。ジャガイモの芽は見たことがあるけど、里いもの芽は見たことがなかった。
「どうするの、捨てたら食品ロスだよ。」
私は、お母さんが里いもを捨てないように、先手を打って言った。きっと、お母さんが里いもを新聞紙に包んだまま、すっかり忘れていたのだろう。なぜかというと、ジャガイモの芽を見たのは、この時と同じ状況だったから、すぐに分かった。
「植えてみたい、これもらってもいい。」
私は、里いもを植えてみることにした。鬼の角のような芽が、かわいく見えてきて植えたらどんなふうに成長するのか、観察してみたいと思った。さっそく、どこに植えようかとワクワクしながら、里いも二つを植えてみた。
その日から、私は里いもを育てるのが楽しみになった。芽が土から出ていないか、地面とにらめっこが毎日続いた。でも、二週間過ぎても芽が出ず、だんだん不安になってきた。
「土の中で、くさっているかもしれないよ。」
と、お母さんが心配そうに言った。
「ちょっと、掘ってみよう。」
そう言うと、少しずつやさしく土を掘り返してみた。すると、お母さんが大きな声で
「あるよ、芽がちゃんとある、生きてるよ。」
私とお母さんは、大喜びしてまた土をかけた。里いもは生きてる。それだけで嬉しかった。そうして、また芽が出るのを観察した。
ようやく芽が出て、巻き貝のようだった葉が、やがて大きく開いた。今年は記録的猛暑で、枯らさないように水やりに気を付けた。
ある日、水やりをしていて不思議に思ったことがある。「なぜ、里いもの葉っぱは水をはじくのだろう。」と、いうことだ。答えを知りたくて、すぐに調べてみると「なるほど、そういうことなんだ。」と、気持ちがすっきりした。
里いもの葉っぱは、光合成の効率を上げるために、水やよごれをはじき落とす工夫があった。ハスの葉っぱも、里いもと同じだった。そして、ご飯がくっつきにくいしゃもじや、フライパンなどに、はじく効果が利用されていると知って、「植物の知恵って、なんてすごいんだろう。」と、植物の生きぬく強さにおどろいた。
夏の暑さで、葉っぱがすべて枯れてしまって、しばらくそのままにしていた。だけど本当は、「里いもができていなかったらどうしよう。」と、掘るのが怖かった。
十二月、勇気をだして掘ってみると、たくさん小さないもができていて、私の想像以上に里いもがたくましく育っていたことが嬉しかった。里いもから、いろいろなことを学んだな、と最後は煮っころがしになった里いもに感謝した。