2016年度 第52回 受賞作品
西日本新聞社賞
ねがいごとは なぁんだ
福岡市 平尾小学校3年佐々木 咲綾
「うわぁ、この行列は何だろう。」
先頭の人がまったく見えないぐらいたくさんの人がならんでいます。
「神様にごあいさつをする人の列よ。」
と、お母さんが教えてくれました。元旦の朝、家族三人で初もうでに出かけてその人の多さにびっくりしたのです。
「今年は、何をおねがいしようかな。」
と考えながら、鳥いの前で写真をとったり、ろ店商でりんごあめを買ったりして待ちました。
本でんがやっと見えてきたとき、
「さやは何をおねがいするの。」
と、お母さんが聞きました。いつものおねがいなのと、少しはずかしくて、
「ないしょ。」
と、答えました。
そして、ついに私たちの番がやってきました。私は、いつもの『パパといっしょにくらせますように。』を三回おねがいしました。私のお父さんは、東日本大しんさいでこまった人を助けるために、私やお母さんとはなればなれでくらしています。いつもお父さんは、人のためになる仕事をがんばっていてすごいなあと思います。でも、長いお休みのときや私の学校の行事に来てくれたときだけしか会えなくて、さびしいです。だから、毎年そのおねがいをしています。そして、今年は、もう一つあるおねがいごとをしました。
帰り道、お父さんとお母さんに、
「ねがいごとは、なあんだ?」
と、たずねました。すると、お母さんが、
「パパといっしょにくらせますように。」
と、言って、やっぱり知られていました。
「当たり。でも、今年はもう一つあるんだよ。」
と、言うと、二人とも、少し考え、
「テストで百点がとれますように?」
と、お父さん。
「けがをしませんように?」
と、お母さん。二人はずっと分からないようだったので、
「さい近、地しんとか台風とか、こわいから、『みんなが平 和になりますように。』って、お願いしたんだよ。」と、小さな小さな声でりんごあめをかじりながら、教えました。すると、
「本当にそうだね。」
と、お母さんが頭をなでてくれました。
みんなが平和になりますように……。