2022年度 第58回 受賞作品
西日本新聞社賞
さつまいものつる以外
私立 中村学園女子中学校3年長尾 百華
「さつまいものつるとか葉って食べられると。」
ハワイにSDGsを学びに行った私は、日本に帰ってきて母にそう聞いた。私は、ハワイの「クアロア牧場」というところで初めてカロを知った。こんなにも素晴らしい食べ物があることを知って感動した。
ハワイでは、カロという食べ物を主食として食べている。カロは、とてもSDGsな食べ物だ。なぜならば、根も葉もつるも食べることができるし、挿し木、芋の植え付けなどにより新たに育てることができるからだ。
そこで、私は、このカロをSDGsの取り組み、十二番の作る責任、使う責任に使うことがことができないかを考えた。しかし、そこには問題があった。それは、カロが、私たちにとってあまり馴染みがなく、スーパーなどでもあまり見かけないため、使うことができないのではないかということだ。そこで思いついたのが、カロに似たSDGsな食べ物を日本で探すということだ。例えば、同じイモ類の「さつまいも」。調べると、さつまいもは、カロと同じく根も葉もつるも食べることができ、さらに栄養もたくさん得ることができるそうだ。イモ類といえば、「じゃがいも」もあるが、ソラニンという毒が含まれており、体に害があるということを聞いたことがあったので適していないと判断した。
ここで私は気になったことがある。そもそも根の部分以外にも葉やつるを食べることができることを知っている人はいるのだろうか。また、食べたことがあるという人はいるのだろうかということだ。
このことを知るために私は、ネットを使い三十二人の若者に調査を行った。その結果、葉もつるも食べることができることを知っているという人は、全体の二十五パーセント、知らない人は七十五パーセント。また、実際に食べたことがあると答えた人は、全体の十三パーセント、食べたことがない人は八十七パーセントとどちらも知らないし、食べたことがないという人が多い。
この結果より、私のように葉やつるを食べることができることを知っている人は少なく、食べたことがあるという人は、もっと少ないということが分かる。つまり、さつまいもを食べたときなどに根の部分以外をすべて捨てている人が多いということである。ところが、私たちが捨てているわけではないようだ。最近はスーパーなどでさつまいもなどを見かけたとき、根の部分しか袋に入っていないことが多い。つまり、私たちが調理の過程で根の部分以外を捨てているのではなく、そもそも買う時点で葉やつるが入っていないのである。
では、農家の人たちは葉やつるをどうしているのだろうか。調べてみると、農家の人たちは、つるを食べたり、また新しく苗を作ったり、土に埋めたり、根の部分以外を燃やしたりしているそうだ。また、つるは売ったりしているが、葉を食べている人は少ない。
昔は、いろんなスーパーでつるが売られていたそうだが、今は段々減ってきている。売っても買う人が少ないことが原因と考えられる。その結果、葉やつるを燃やすことが増えた。
なぜこんなにも栄養いっぱいのつるを買う人が少ないのだろうか。それはやはり、つるを食べることができることを知らない人が多いからだろう。
では、どのようにしたら知ってもらえるのか。私は二つの方法を考えた。
まず一つめは、つるについて書いたポスターをスーパーなどに貼ってもらうということだ。栄養いっぱいなどと書かれていて買わない人は、いないだろう。「こんな食べ物があったんだ」と興味心で買う人もいると考えた。
次に二つめは、つるを使って作った食べ物やお菓子の作り方の動画をユーチューブなどにあげることだ。今は、多くの人が、いろいろなアプリで動画を見たり、食べ物でさえもネットで買うことが多い。だからこそ、このような動画を見ると、買う人が増えると思った。
農家の人の処理の仕方は、燃やすということもあり、燃やすと二酸化炭素が発生するなど環境破壊に繋がることもあるので、この二つの方法を行い、多くの人にたくさん栄養を摂ってもらうのと同時に、環境を少しずつよくできたらいいなと思った。また、SDGsの十二番の作る責任、使う責任を達成できたらいいなと思った。
私もこれからは、芋のつるを食べたり、新たな食べ方を作ったりしたいなと思う。また、まだあまり食べられていない葉も、どのようにしたら美味しく食べることができるかを研究してみたい。