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「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2022年度 第58回 受賞作品

福岡県教育委員会賞

守ることで守られている我が家のルール

須恵町立  須恵中学校3年一ノ宮 琉司

 コロナ禍によりデジタル化が進み、最近では中学生のスマホ保有率は約九十パーセントに伸び、私も、友達のほとんどもスマホを持っている。二十〜四十九歳だと百パーセントを越え、七十歳以上でも、半数以上の人が保有しているそうだ。
「使い方が分からんから、スマホはいらない。」
と言っていた祖父も、コロナで会う機会が減ったため、ビデオ通話ができるようにと、叔父がスマホを契約してくれたそうだ。祖父のLINEの友達リストには、中学生以上の孫達すべても入っている。
 最初は、
「LINE通話だと無料だよ。」
と、何度教えても、慣れないからか電話でかけてきた祖父も、最近では、私がLINEで電話をかけると、
「ビデオ通話の方が、顔が見えるけん、かけなおす。」
と、スマホを使いこなしている。文字も打てるようになり、毎日のようにLINEで、おはようや、おやすみなどの挨拶や、
「今日は、暑かったですね。部活と勉強頑張ってください。」と、少し硬めの文章のメッセージが送られてくるようになった。面白いスタンプをつけて返信をすると、スタンプの使い方を聞いてくる。説明しながら、一所懸命スマホをしている祖父の姿を想像すると、顔が緩んでしまう。いつの間にか、アイコンが変わっていて、尋ねると、私のいとこが変えてくれたそうだ。
「いつまでスマホ使ってるの?」
と、母に叱られるが、
「じいじから、LINEきたから返信しよると。」
と言うと、
「ごめん。それなら、使ってていいよ。」
と、笑顔になるから不思議だ。母は、スマホを使うことでなく、内容や相手の方が気になるようだ。
 中学に入学してスマホを買ってもらった時、両親と、リビング以外で使わないこと、LINEなどで人の悪口を言わないことを約束した。その他にも、私のスマホには制限がかかっていて、二十三時以降は使えないし、アプリの更新や、新しくダウンロードするときも親の許可が必要だ。友達が新しいアプリを始めて、楽しそうに会話していると、自分もやりたいし、仲間に入りたい。しかし、必ず母に反対されてしまう。
「あなたを守るためだよ。」
と言われ、自分は大丈夫だと説得するが我が家のルールや制限は、なかなか変わらない。
 実際ニュースなどでよく聞くスマホの問題点としては、SNSなどの書き込みで、個人情報が流出してトラブルに巻き込まれたり、誹謗中傷で、いじめに発展してしまったりすることもある。その他にも、スマホ依存症に陥ったり、課金トラブル、視力や学力の低下などが挙げられている。自分には関係ないと思っているが、本当に大丈夫だろうか。
 例えば、部活動やクラブから帰ってきてスマホを見ると、LINEには五十通近くのメッセージが入っていたり、友達のコメントにショックを受けたりすることもある。アプリで欲しいアイテムがもらえないと、課金してみたいなと思うこともあるし、二十三時ギリギリまでスマホを使ってしまうこともある。やはり、我が家のルールと制限は正しいようだ。
「○○って、どういう意味?」
と、勉強していたり、家族でテレビを見ていたりして分からない言葉があり、尋ねると、
「自分でスマホで調べたら?」
と、答える兄や母に、
「二十三時過ぎたから使えない。だから制限時間延ばしてよ。」
と言うと、母は自分のスマホで調べて、画面を見せてくる。決めたことは、変えないという我が家の教えは、自分の実生活にも生かされている気がする。リビングでしかスマホが使えない中学生時代を過ごした兄は、大学生になっても、リビングで過ごすことが多い。今では制限がなくなった兄だが、今までトラブルに巻き込まれることなく、母が手間取っているスマホでの手続きを簡単にこなしてスマホの重要性をアピールしてくれる。
 スマホには、たくさんのデメリットや誘惑があるが、家族でルールを決め、そのルールは、自分たちのためにあることを理解し、守って正しく使えば、デジタル化が進んでいる現代において、便利で大切なコミュニケーションツールだと思う。

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