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「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2021年度 第57回 受賞作品

RKB毎日放送賞

NEVER GIVE UP!

糸島市立  志摩中学校1年中村 匠

 先日、楽しみにしていた漫才の頂上決戦、「M-1グランプリ2021」を観た。というのも、僕の好きなコンビ、「ロングコートダディ」さんが約六千組のうち九組が進める決勝に駒を進めたからだ。しかし、彼らは四位、優勝は「錦鯉」さんという結果に終わった。この大会が僕に教えてくれたことがある。
 M-1から半月遡る。僕は「第四回福岡県中学生英語スピーチコンテスト」を控えていた。英語が好きという理由で挑戦したのだが、決して軽い気持ちでするようなものではなかった。毎週二日ほど、放課後に先生から指導を受けてスピーチを磨いて、今日、県大会に出場できるようになったのだ。僕のために毎回真剣に指導してくださった先生方、そして応援してくれているクラスのみんな、家族の顔を思い浮かべながら、会場へ電車で向かっていた。閑かな駅の隅で食べたおにぎりと梅ヶ枝餅の味、そしてそこの風景は、今でも忘れられない。外は寒いはずだが、なぜか暑かった。
 会場に到着。そこでは毎回指導してくださった先生が案内してくださった。そこにあった菓子パンの匂いが心を落ち着けてくれた。しかし、落ち着きを取り戻したのも束の間、二階には出場者たちが並んでいる。ほぼ全員制服が違う。県全域から表現力の精鋭が集められたと思うと、鳥肌が立った。今まで吸ったことがないような空気の中、ホールに入っていった。
 ホールの中、僕は緊張していた。ステージに煌びやかな楯が並ぶ。これを懸けてこれからスピーチするのかと思うと、ますます状況を理解できなかった。軽くリハーサルをして、いよいよ本番だ。スタッフの方々が準備をし始めると、会場が静まった。そんな中、僕は必死で練習していた。時間がわざとゆっくり動いているように思えた。
 準備が終わったところで、ブザーがとても大きく鳴った。僕はその音に驚き、台詞が全て飛んでいってしまいそうだった。審査員の方々が紹介される。彼らの目の奥はどこか温かく、そしてどこか鋭かった。早速一人目のスピーチが始まった。僕は圧倒されていた。僕と英語力も表現力も全然違う。桁違いだ。そして何より、スピーチ内容が僕の四倍程ある。そんな実力差が、僕に自分のちっぽけさを教えてくれた。二人目、三人目、と次々に出場者がスピーチをして、遂に自分の番が回ってきた。席から立って前に歩き始めると、心臓がばくばくして、肋骨と皮膚を突き破って出てくるかと思った。これ程緊張したのは、人生で二、三度目くらいだ。僕はステージに立ち、もうなるようになればいいと思って、恥をかなぐり捨てて堂々とスピーチをした。取りあえず、台詞は全て覚えていた。無事スピーチを終えると、拍手が湧いた。もしや、意外と良かったのかと思ったが、僕の出番の後に次から次へと実力が桁違いの出場者がスピーチをして、やはり不十分だったのだと思わされた。中には自分の大きな経験を題材にスピーチをする出場者もいて、自分がどれほどちっぽけな世界で生きてきたかを思い知らされた。
 ようやく全員分のスピーチが終わり、いよいよ結果発表だ。自分は大海に出た井の中の蛙だということをわかっていながらも、何かしらの賞を獲ることを必死の形相で祈っていた。ドラムロールが自分を煽ってくる。結果は何の賞も獲れず。悔しい気持ちと参加賞だけを抱えて、会場を出た。
「初めてだけれど、あんなに堂々としていてすごかった。」
と、先生が褒めてくださり、思わず涙が出そうになった。また挑戦してみようと思ったが、何か大きな経験をしない限りは当分無理だろうといった負の気持ちが強かった。そのときは。
 そんな気持ちのまま半月が経った。僕はテレビの前でわくわくしながら「M-1グランプリ2021」を観ていた。笑って、笑って、負の気持ちなんて遠く離れていっていた。本当に、誰が優勝してもおかしくなかった。優勝は前に述べたとおり、「錦鯉」さんだ。応援していた「ロングコートダディ」さんは惜しくも四位で、半月前の自分と同じような気持ちなのではないかと思ったりもしたが、錦鯉さんの優勝は素直に嬉しかった。なぜなら、錦鯉のメンバー、長谷川さんは何と五十才で優勝を手にしたからだ。これは歴代優勝者の中で最年長だ。きっと彼には挫折したときもあっただろう。結果をなかなか出せず、夢を諦めようと思ったことだってあっただろう。それでも折れず、笑顔のために五十才まで頑張って栄冠を手にしたのだ。こんなところで僕も折れてはいられない。
 そんな「M-1グランプリ2021」が僕に教えてくれたこと、それは、「好きなことは諦めずやれ」ということだ。僕は英語が好きだ。だから「英語スピーチコンテスト」はまだ諦めない。そう、NEVER GIVE UP。

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