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「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2021年度 第57回 受賞作品

RKB毎日放送賞

離れていても伝わる気持ち

私立  福岡雙葉小学校5年新東 茉子

 「茉子……落ちついて聞いてよ。」
ジリジリと照り付けるような夏の日。目を覚ました私に姉が言った。普段と違って、母の姿はなかった。
 「昨夜、おばあちゃんが転倒して、救急車で運ばれたんよ。」
声が震えていた。寝起きのせいなのか、すぐに言葉が出なかった。しばらく姉の顔を見つめた後、
 「死んだりしないよね?」
と言ったと同時に
 「縁起でもないこと言わんでよ!」
姉の激しい口調に一気に目が覚めた。きっと大丈夫と言ってくれると思っていたのに、姉の目からは、涙がこぼれ出していた。私の心臓はドキドキ、心の奥はザワザワしていた。重苦しい空気が流れ、姉とはそれっきり一言も言葉を交わさなかった。不安は募るばかり。
 少しして病院から両親が帰ってきた。医師の説明では、首の神経を痛めているため体が不自由になるかもしれない。元の状態に戻れるかは、リハビリ次第とのことだった。命に
別状がないとわかり、私と姉は手を取り合って喜んだ。心の底からホッとした。
 祖母のいない毎日は、たとえようのない寂しさでいっぱいだった。帰宅後、出迎えてくれる祖母の笑顔。おやつを食べながら、私の話を楽しそうに聞いてくれる祖母の笑顔。気付けば、思うのは祖母のことばかり。いつもどんな時も、祖母は傍にいてくれた。支えられていた。今度は、私が祖母を支える番だ。
 新型コロナウイルスの影響で、お見舞いには行けない。手紙で思いを伝えようと紙とペンを手に取った。沢山の事を書きたかったのだが、一文字一文字に早く良くなるように心を込めて「大好きだよ。茉子より」と書いた。手紙を書くことで、祖母とつながっている気がした。母が病院に持って行く着替えの中に手紙を入れ続けた。
 祖母の入院も二カ月目に入ろうとした頃、祖母からの返事を受け取った。そこには、
「テガミアリガトウ。ハヤクアイタイヨ。リハビリガンバッテルヨ。」
手が不自由な中、書いてくれた文字に胸が熱くなった。一日二回のリハビリに加え、自主練習も積極的にこなしていると母に聞いた。
 気が付けば季節は冬。二〇二一年も終わろうとしていた。
今、目の前には帰ってきた祖母がいる。
「リハビリは本当に痛くて辛くて逃げ出したかったよ。でも、周りの皆に支えてもらい、励ましてもらい無事退院できたよ。でもね茉子ちゃんからの手紙が一番の特効薬だったよ。」
笑いながら話す祖母。手紙に込めた思いは伝わっていたのだ。体中から嬉しさがこみあげてきた。
 祖母の入院により学んだことがある。それは、離れていても伝わる気持ちがあるということだ。

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