ホーム > 小・中学生作文コンクール > 過去の受賞作品

「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2021年度 第57回 受賞作品

RKB毎日放送賞

あきらめなかった人達

福岡市立  田島小学校6年深見 奏介

 パチパチと空高く火のこがまっている。それはまるで星のようにきれいだった。令和三年十二月三十一日の大晦日、僕は今、年こしキャンプに来ている。それで夜にキャンプファイヤーがあるとのことで見に来ているのだ。
「えーみなさんこんばんは。」
ふり返るとキャンプ場の人がマイクを持って話し始めたようだ。その話はこんな内容だった。ここのキャンプ場はその人の両親が営んでいたこと。だけど令和二年七月のごう雨災害でキャンプ場が流されてしまいもう閉めようかとあきらめかけていたこと。今は息子さん夫婦がオーナーを引きついでキャンプ場の半分ほどがようやく再建できたということだった。僕は知らなかった。この話を聞く前からなぜ立入禁止のロープが張ってあったり、土地がでこぼこになっている場所があるのか気になってはいたが、そんなことがあったなんて、思いもよらなかった。キャンプ場をそんな状況から直したなんて、すごいと思った。
 テントにもどった僕は、当時のことが知りたくてインターネットで調べてみた。すると、水で流されてきた倒木や建物のバラバラになっている写真などが出てきて、とても同じキャンプ場を写している写真とは思えなかった。そこからキャンプ場を再建するきっかけは、なんだったのだろうか。なぜそこまでがんばれたのか気になり、調べた。そこには、こう書いてあった。
 被災を知ったお客様からのはげまし、そして、再開を待つ応えんの言葉を受けて、「『時間がかかってもいいから、再開させてもう一度お客様をむかえいれたい。』という気持ちが、家族全員、一段と強くなったのです。」と。この文を読んでこの人達は、お客さんのことを大切にしていることを感じた。それから、キャンプ場の人達は、クラウドファンディングで資金を集めたり、色々な人達に助けられて、復旧作業を続け、令和四年の夏には、全面復旧することを知った。
 僕は、ここのキャンプ場に来ることが出来てとても幸せに思った。なぜなら、このキャンプ場がたくさんの人の善意と、「キャンプ場の人達のみんなをもてなしたい。楽しませたい。」という強い気持ちで作られていると感じられたからだ。
 このキャンプ場には、温泉がある。寒い冬に入る露天風呂は最高だ。冷えた体とつかれた心を温めてくれる。僕も、困難な状況になった時、あきらめて立ち止まるのではなく、一人ではどうしようもないと思っても、周りには、助けてくれる人達がいるということを忘れずに、あきらめずに、前に進んでいけたらいいなと、満天の星空を見上げて思った。

ページ上へ