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「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2021年度 第57回 受賞作品

全共連福岡県本部運営委員会会長賞

日常

大野城市立  大野小学校6年渋谷 梨々子

「それ、まじ?」
と笑いながら言う。休み時間、教室の中に太陽の光が入りこむ窓側で友達と話している。次の授業について話したり、好きなアニメで笑ったりする。私はこの何気ない日常が小学校生活一番の思い出だ。
 そのことに気付くきっかけとなったのは、卒業文集の題材を決めるときだった。卒業文集の題材を決める紙が配られ、目を通した。修学旅行、委員会、クラブ活動。どれにしようか迷っていると一つの所に目がとまった。
「日常生活」、そう書いてあった。しばらく見ていて、他の題材も見てみた。その時は「将来の夢」について書こうと思っていた。
「明日までに決めておいてください。」
と先生が言った。もう決めたから大丈夫と思っていたけど、何か納得のいかない気持ちがあった。五分休けいの時、私は友達に何にするか聞いてみた。「修学旅行」「十年後の自分へ」「委員会」などたくさん出てくる。けれど、まだ私は「将来の夢」にしようと考えていた。
 家に帰り、夕食を食べ終え、姉の卒業文集を見てみた。やはり一番多かったのは「修学旅行」だった。そしてある人の卒業文集を見た。その人は「日常生活」について書いていた。その時、はじめて気付いたかもしれない。自分が「日常生活」について書きたかったことを。そして、ふだんの何気ない日常が一番楽しいことを。私はつい、
「日常、あった!」
と口に出して言ってしまった。思えばそうだ。授業中、先生がすぐおもしろいことを言って、あまり好きじゃなかった社会も少し好きになったかもしれない。いやな授業があっても友達がいたから学校に来ることができた、などたくさんのいい思い出がある。何で今まで気付かなかったんだろう。そう思えて自分がまた一つ成長した気がした。別に「修学旅行」など特別な行事じゃなくていい。給食のメニューを見て、一番おいしそうな料理を探し、その料理について話した休み時間。なぜか急にCMの歌を歌い出す授業。私は、ふだんの何気ない休み時間や授業が一番楽しい。そして、私は卒業文集の題材を「日常生活」について書くことを心に決めた。
 それから私は、休み時間や授業を大事に過ごすようになった。そして、
「あまり学校行きたくないな」と思ったら休み時間のことなど楽しいことを考えている。
「ずっとこの日常が続けばいいのに」と思う。
「ねえ、今から一年生のところ行かない?」
と友達が誘ってくる。
「いいよ!」
と元気に返事をした。

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