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「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2021年度 第57回 受賞作品

全共連福岡県本部運営委員会会長賞

はん画で伝えたい

福岡市立  若宮小学校4年照井 優人

 「あーっ。目がとれた。」
はん画でほっているトラの目だ。
 ぼくは今年、はん画で年賀じょうを作ることにした。理由は、四年生になって、図工の時間にはん画を習ったことと、岩手に住むおじいちゃんが、毎年はん画で年賀じょうをくれるからだ。
 使う板は、図工の時間に使った板のうら。新聞紙をしいて板にハガキのサイズの印をつけてトラの絵をほった。
「コリ、コリ、コリ。」
小丸刀と三角刀でほった。でも、ほらなくてもいい所をほったり、トラの目がとれたり、細かくてうまくいかない。
「線を太めにしたらほりやすいよ。」
はん画がとく意なお父さんが教えてくれた。そこで、もう一度トラの大きさを少し大きくして、線を太くして集中してほった。そうしたら今度はうまくほることができた。
 早速、黒い絵の具を板にぬり、白い紙をあてて、お父さんに借りたバレンを使って何度もこすった。
「スリー、ツー、ワン。」
弟と大きな声を出して言った。心ぞうの音が聞こえそうなくらいドキドキした。ゆっくり、ゆっくり紙をめくった。そこにはちゃんとトラがいた。耳が少しうすかったけれど、ぼくが思ったよりうまくできていた。うれしかった。それからハガキに、おじいちゃんがよろこぶ顔を思いながら、力いっぱいゴシゴシとバレンを動かした。
 毎年、お正月は岩手のおじいちゃんに会いに行っていたけれど、新型コロナウイルス感せんが広がって会えなくなった。楽しみにしていた、雪だるま作りもスキーも雪かきもできない。ぼくの書いた絵をいつもほめてくれたおじいちゃん。ぼくは十才になって、ちょうこく刀が使えるまで大きくなった。会えない二年の間におじいちゃんは病気でほとんど声が出なくなって、電話では話せない。だから、今年の年賀じょうははん画にして、会えないけれど、ぼくが少し大きくなったことを伝えたかった。おじいちゃん、気付いてくれたかな。ぼくは福岡でトラのはん画みたいに、前を向いて毎日をがんばっているよ。

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