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「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2021年度 第57回 受賞作品

全共連福岡県本部運営委員会会長賞

ぶどうがり

福岡市立  箱崎小学校3年 咲空

「明日、ぶどうがりに行こうか。」
お父さんの言葉に、わたしと弟はうれしくて、ジャンプをしてよろこんだ。
 よく日は朝から日ざしが強く、暑い。わたしと弟は、お気に入りのぼう子をかぶった。弟は何度も、
「緑のぶどう、いっぱいとりたいね。」
と言う。四才の弟はくだ物が大好きで、中でもマスカットといちごが好きだ。あまおう一パック分を全部食べてしまった事もある。お母さんはわらったが、一こも食べられなかったわたしにとってはわらい事じゃない。「今日はぜっ対に弟といっしょに食べるぞ。」と思った。
 青空と緑の畑が広がるけ色を見ながらうとうとし始めたころ、ようやくぶどう園に着いた。土や草のにおいと風が気持ちいい。やさしそうなおばさんが、し食用のぶどうを何しゅるいも出してくれた。かむと「プチッ。」と音がして、しるがじゅわあっとあふれる。おいしい。三しゅるいのぶどうをえらび、その木まであん内してもらった。
 ぶどう畑は、えだと葉が横にのびて、まるで黄緑色の天じょうのように広がっていた。そこに、白や青のふくろがかけられたぶどうがたくさんぶら下がっていて、ふくろの下の両はしから中が見える。おいしいぶどうの見分け方を教えてもらったわたしたちは、みな真けんな顔で一つ一つ見て回る。
「これ、これ。これがいいよ。」
わたしがぶどう、弟がはさみを持ち、お父さんが弟をかかえ上げる。三人がかりだ。弟はぼう子のつばがじゃまになり、後ろ向きにかぶり直してから、
「パチンッ。」と切り落とした。受けとめたぶどうは、どれもずしりと重かった。
「うん。おいしいぶどうをえらんだね。」
おばさんに言われて、わたしは思わず小さくガッツポーズをした。
「緑のぶどう、あってよかったね。」
帰り道、弟はうれしそうにわらった。家に着くとすぐ、弟といっしょにとりたてのぶどうを食べた。弟が、
「めちゃくちゃおいしいね。」
と、ぶどうみたいなまん丸な目をして言ったのがおかしくて、みんなわらった。うん。おいしいね。楽しかったね。お父さん、また来年もつれて行ってね。

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