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「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2020年度 第56回 受賞作品

RKB毎日放送賞

自分の意志をつらぬこう

うきは市立  千年小学校6年橋本 光柊

 「あなたは、自分のことが好きですか。」
答えは、ノーだ。人に流されて自分の意見をはっきり言えないからだ。みんなは、自信をもって「自分のことが好き」と言えるのかな。周りの友達は、みんな自分に自信をもって行動しているように思える。その度に、きらきらかがやいて見え、自分は暗くどんよりした雲の下にいるような気分になる。
 あの時もそうだった。休みの日、五、六人で集まって遊ぶ場所を決めていた。
「公園か学校どっちがいい?」
私は、学校がよかった。でも、みんなは公園がいいらしい。みんな公園がいいなら公園でいっか、私ががまんすればいいだけだし。ほらまただ。これのくり返しで、自分の意見をまともに言えたことはない。いつも後から後悔するだけだった。
 自分の夢を話した時もそうだった。私は、警察官になりたかった。でも、スポーツや運動などはあまり得意ではなかった。むしろ苦手なほうだ。だから、友達から、
「本当になれるの。」
「やめたほうがいいんじゃない。」
などと言われ、本当は自分の夢を否定されていやだったのに、「いやだ」の言葉は、口から出てこなかった。
 そんな自分を変えたきっかけは、ドラマだ。自分に正直になれない高校生が仲間に出会い「自分になりたい」の言葉をもとにどんどん変わっていく話だ。その高校生を見た時、どこか自分と似ているなと思った。正直になれないところや思っていることが言えないところがそっくりだ。その高校生は、「自分になりたい」と言っていた。それを聞いた時、自分も変われるかもと思った。正直に言っていたら、思いを伝えていたら、みんなも聞いてくれていたかもしれない。なにかがふっきれた。自分の人生、後悔のないように生きよう。
 それから、変わろうと決めた私は、「私はこっちがいい」や「いやだ」の言葉がすぐに出てくるようになった。自分でも不思議だった。今まで思っていても言えなかった私が、ドラマをきっかけにこんなに変われるんだって。このとき初めて本当の自分になれた気がした。それに警察官になる夢を今もあきらめていない。まだ運動は苦手だけど、他のことを生かして夢を追いかけたい。
 人に流されてばかりの自分がきらいだった。でも、今は、前よりもずっと自分を好きになれた。人とちがうところも一つの個性としてポジティブに受けとめられるようになった。変わってからとても楽しい。
「あなたは、自分のことが好きですか。」
 答えは、イエス。人がどう思おうと、私はわたし。自分の意思をつらぬこう。

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