2020年度 第56回 受賞作品
RKB毎日放送賞
エリンが伝えてくれた事
私立 福岡海星女子学院附属小学校4年小西 唯花
今まで読んだ物語とはまるでちがい、始まりも死、終わりも死という私にとっては初めて経験した読書でした。主人公エリンは私と同じ十歳。目の前で愛するお母さんが、獣に食べられるという処けいにあい、かなしみをかかえながらも前を向いて生きていくエリンに心をひきつけられました。エリンは、お母さんから教えてもらった事を生かしながら、獣の世話をする仕事をして多くの人に出会ってりっぱな大人に成長していきました。印しょうに残った所はだれ一人として獣と気持ちを交わす事ができなかったことを、エリンはあきらめずに仕事をして言葉を交わすようにできた所です。エリンの優しい気持ちが伝わった時は私もうれしかったです。
私の日常はエリンに比べると、おだやかな日々です。間近に死を感じる事もなければ、家族もそばにいます。当たり前に思ってしまうと大切な事を感じにくいような気がします。ただ去年は新型コロナウイルスがとつぜん人々をおそい、世の中が大きく変わりました。自分が気を付けないと、人に病気をうつして亡くなってしまうかもしれないという、初めて身近に死を感じる経験です。二ヶ月間学校は休校になり、お友達とも会えない日々が続きました。自由に外出もできず、真夏の暑い時もマスクをしなければならない。なぜこんな不自由な生活になったのだろうと残念に思った時もありました。
しかしこの物語を読んで、エリンのように、目の前にふりかかってきた事を受け止めて、前を向いて生きていくしかないのだと感じました。最後にエリンは死んでしまいます。涙があふれて止まりませんでした。しかし
「生きている間の日々を大切にして、目の前にある仕事をこなしていく事。自分のまわりにいてくれる人、これから出会う人達を大切にして生きていく事が大切なんだよ。」
とエリンが伝えてくれたように感じました。