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「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2020年度 第56回 受賞作品

福岡県教育委員会賞

未来に向かって充電中…

福岡市立  名島小学校6年入部 陽希

「ヘディング、決まった!!」
「陽希、ナイスシュート!!」
ゴールを決めたのは、去年の一月十一日の僕。九州ジュニアという六年生の大きな大会で、強豪チームから五年生の僕が一点をもぎ取った試合。チームは負けたけど、僕にとっては最高な試合だったはずなのに…。この試合は、僕にとってどん底の一年の始まりとなることをあの日の僕はまだ知らない。
 一月十五日、四日前の試合のと中から感じていたひざの痛みが治らなかったため、病院へ行った。診断結果は「オスグッド」というスポーツ障がい。ひざのお皿の下あたりの脛骨粗面が隆起し、腫れと痛みが生じるものだ。診断が出て、もうすぐ一年になるが、まだまだ長いつき合いになりそうだ。
 この一年、僕はこの「オスグッド」のせいで、もどかしくて苦しい思いをたくさんしてきた。サッカー面では、フェイントをかけるための細かいステップなど、これまで日々の努力で身につけてきた色々な技術が、使いにくくなってしまった。また、生活面でも、和式トイレでしゃがむたびにひざがズキンズキンしたり、二段ベッドから下りるのにも一苦労したりしている。こんな不便な生活が続いて、いつしか僕の頭の片すみに「頑張ってもどうせ…」というあきらめの感情が見えかくれするようになっていった。もう最悪だった。
 そんなある日の試合のこと。その日も僕は、ひざの痛みにたえながら、フル出場できるように力加減を調整して試合に臨んでいた。相手のミスと味方の得点のおかげで運よく決勝まで進んだものの、いまいち盛り上がれないまま、チームのテントへもどってくると、お母さんが話しかけてきた。
「陽希くんは、今日の試合楽しいの?」
「ん…。だって、どうせひざ痛いし…。」
「ママ、全然楽しくない。ママは60%の力でフル出場する陽希くんより、半分しか出られなくても100%の力で思いっきりプレーしている陽希くんを見たい。その方が自分も楽しくない?ベンチにまだ仲間がいるでしょ。」
僕は、ハッとした。最悪にしていたのは、僕自身じゃないか。だから、その言葉を素直に受け入れて、僕は決勝戦に臨んだ。全力を出し続けたその試合は、なんと延長戦の残り一分で僕のドリブルから同点に追いつき、その後のPKを制すという劇的な勝利を収めた。
 今、世界中の人々がコロナウイルスの影響で限られたことしかできない生活様式にストレスをためている。でも、今の僕はもう
「コロナのせいで何もできん!!」
なんて言わない。なぜなら、今の状況の中で何ができるかを考え、楽しめばよいと考えられるようになったから。僕はオスグッドにも絶対負けない。今はまだがまんのときだけど、虎視眈眈とチャンスをうかがい、いつか絶対に羽ばたいてみせる。

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