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「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2020年度 第56回 受賞作品

福岡県教育委員会賞

一、二、三、チーン

福岡市立  志賀島小学校3年小川 海里

「チーン。」
 この音がなると大せいこうだ。わたしは、クラスの友だちと先生といっしょにハンドベルをえんそうした。ベルの真ん中にある玉をクラッパーという。きれいな音を出すためには、ベルにクラッパーが一度だけ当たらなければいけない。ハンドベルをならすことはかんたんだけど、きれいにならすにはコツがひつようだった。
 一つ目のコツはベルをかんぱいするようにふることだ。そうすることで手首のスナップがきき、クラッパーがきちんとベルに当たる。
 二つ目のコツは、ふる強さを調せつし、一定の強さでふることだ。強くふるとあたりにひびきわたるような、「キーン」という音になり、弱すぎると音がならない。
 三つ目のコツは、音を消すときにむねにベルをあてて消すことだ。そうすることで、わたしのベルの音と他の人のベルの音がまざらなくなる。
 はじめは、上手にふることができず、音がならなかったり曲が止まったりしていた。その度に、
「心の中で歌いながらやってみよう。」
とお互いに声をかけ合って一生けん命練習をした。何度も何度も練習した。それでも練習がいやにならなかったのは、クラスの友だちといっしょにえんそうすることが楽しくて仕方がなかったからだ。練習を重ねるごとに、まるでベルが歌っているかのようにえんそうすることができるようになった。一人ではえんそうすることができないこの楽きが、わたしたちの心を一つにしてくれた。
 いよいよ本番。「みんなよろこんでくれるかな。」ドキドキ。「一番さいしょの音だからぜったいにしっぱいできない。」ドキドキ。ふ安がとまらない。ドキドキ。みんなのキラキラした目がわたしたちにむけられた。先生が合図を出した。
「一、二、三。」
 わたしは心を落ち着かせて、ベルをにぎる左手に力をこめた。

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