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「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2020年度 第56回 受賞作品

福岡県知事賞

手を繋ぐということ

私立  福岡雙葉小学校4年新東 茉子

 私は手を繋ぐことが大好きだ。物心ついたときから、外に出るときは絶対に手を繋ぐ。
 お父さん・お母さんと手を繋いで歩くときは、いつもより少し速めの歩調。だけど、自然と私の歩調と合わせて歩いてくれる。
 おばあちゃんと手を繋いで歩くときは、いつもよりだいぶ遅い歩調。だから、私がおばあちゃんの歩調に合わせて歩く。
 お友達と手を繋いで歩くときは、おしゃべりが楽しすぎて、ついつい前のめりの速めの歩調。
 どうして私が手を繋ぐのが好きかというと、理由は一つ。手を繋ぐと、会話はなくても気持ちが繋がっている気がするからだ。
 ただ、最近、私より小さい子が手を繋いでいないのを見ると思わず手を離してしまう。「少し恥ずかしいなあ。」と思うようになってきたのだ。本当は、まだまだ手を繋いでいたいのだけれど…。気持ちと行動がチグハグになってきた。
 冬休みのある日、いつものようにお母さんと手を繋いでバス停にいたところ、バッタリ、同級生のお友達に会った。すかさず繋いでいた手をふりほどいた。少しの会話をした後、お母さんに、
「ごめんね。手、離してしまって。ちょっと恥ずかしくて。本当は繋いでいたいんだけど。」
と本当のことを言った。
すると予想外の言葉が返ってきた。
「恥ずかしいっていうのは成長の証よ。手を繋ぐって意外と難しいよ。」
「えっ、どういうこと!?」
「手を繋いで歩く時って相手の事を考えて歩くでしょ?思いやりが必要よ。」
「なるほど。」
 私は、手を繋ぐとは甘えているという考えだったが、そんなに恥ずかしい事じゃないのかもしれない。むしろ、手を繋ぐことはとても素敵な事だと思えてきた。お母さんは、言った。
「そのうちいつのまにか繋がなくなるよ。嫌って思うまで繋ごう。」
私は満面の笑顔でうなずいて、お母さんの手をにぎりしめた。

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