ホーム > 小・中学生作文コンクール > 過去の受賞作品

「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2020年度 第56回 受賞作品

福岡県知事賞

お母さんそつ業

福岡市立  名島小学校3年臼井 廉

 クリスマスプレゼントに、母からさくら文鳥をかってもらいました。そのさくら文鳥は、まだとべなくて、自分でえさも食べられない小さなひなだったのです。名前は、さくら文鳥からとって「さくら」にしました。
「れんが、さくらのお母さん代わりだよ。お母さんがしっかりしないと、ひなは死んでしまうよ。」
と父が言いました。
 その日から毎日、ぼくは、一日三回さくらのえさを作って食べさせました。えさは、小鳥用のあわ玉をおゆでふやかし、カルシウムえきをかきまぜてさまします。あついとやけどをするし、つめたいとおなかをこわします。ぼくはえさの中に指を入れて、何度も温度をたしかめました。出来あがったえさを、親鳥の口ばしのような形をしたストローで、さくらの口の中に入れてあげました。さくらはすぐ飲みこんで、また口を開けます。よっぽどおなかがすいていたのでしょう。何日かすると、ぼくの声を聞くと、さくらは、チュンチュンと鳴くようになりました。母が、
「さくらは、れんの声がわかるんだね。」と言いました。ぼくはうれしくなりました。
 冬休みが終わるころ、だんだんさくらは、ぼくが作ったえさを食べなくなりました。ぼくは、さくらが死んでしまうのではないかと心配でたまりませんでした。本には、ひなが大人に近づくと、ひな用のえさを食べなくなると書いてありました。父が大人の文鳥のえさを買って来てくれて、さくらにあげてみることにしました。さくらは、ひとつぶずつ自分の口ばしでえさを食べ始めました。
「一人で食べられるんだ。」
ぼくは、うれしくなって大声でさけびました。しかも、少しだけパタパタととべるようになっていました。
「れんのお母さんも、そつ業だね。」
と元気に育っているのがわかって、とても安心しました。でも、お母さんそつ業は、少しさみしいなと思いました。

ページ上へ