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「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2019年度 第55回 受賞作品

RKB毎日放送賞

お母さんの光

太宰府市立  太宰府東中学校2年古賀 優良

 「ドンッ」
閉まる音がした。ふすまから光が見える。そこを覗くと、母が机とにらめっこをしている。その顔をみると、みけんにしわがよって難しい顔になっていた。私は、そんな顔を初めて見た。
 私の母は、看護師を目指している。毎日、机とにらめっこをして、寝ている時間が少ない。机の周りには、本、辞書がたくさんある。私の母の頭の中は、勉強のことでいっぱいだった。
 ある日のことだった。家族みんなで久しぶりの休日がとれた。前日に、家族みんなで行く場所を話し合った結果、スポッチャに行くことになった。私は、上機嫌で車に乗り、歌を歌いながら、目的地に向かった。家族みんな何事にも負けずぎらいなので、勝負をかけることになった。私たちは、ものすごく盛りあがっていた。
 「誰が運動おんちか勝負しようぜ。」
父が、声を高くして言ってきた。当然運動部の私は、負ける気がしなかった。と、そんな話を進めていると、目的地についた。
 「プルループルルー」
電話の音が車の中で鳴り響いた。母の携帯だ。長くなりそうな雰囲気を察してか、母は口を動かしながら、
「さきに行ってて、あとからすぐいく。」
と小声で言った。私、兄、父は、楽しみな気持ちをおさえきれず、さきにいくことにした。
 三人で、たくさんのスポーツで遊んだ。私はことごとく全てのスポーツに勝ち、ものすごくいい気分になっていた。
 そのとき、母が遅いことにきづいた。私は、何もかもすりぬけて行くように走った。車の中を見ると、そこには、目をほそめている母がいた。手元をみると、教科書、ノートがあった。きっと、電話の内容は、昨日友達から教えてもらおうとしていた勉強のことだろう。私は、その姿をみて、地面にある石をけりたくなった。私は、母をにらみつけた。家族みんなが休日にそろうことはないのに、自分を優先するなんて。私の頭はカンカンだった。私はすぐに中へ戻り、母なんかいなかったことにした。
 三十分後、母は、小走りしながら現れた。母は、私が不機嫌なことを知っていたかのように、太陽みたいに温かく接してきた。私は、そんなことで折れるわけないし、と思いながらも、心の中でひそかに楽しんでいた。私は、いつも素直になれないのだ。このまま、時間がすぎても来なかったらと不安でいっぱいだった。母の姿を見た瞬間、心の中は、ほっとあたたかくなっていたはずだった。それなのに、私は、
「もっと早くおわらしてきてよ。おそいし。」
と強く言ってしまった。母は、表情を変えず、
「はい、はい。」
と少しふざけた感じで言った。
 その後、やっと家族四人で、バスケットボール、卓球、テニス、サッカーをした。優勝したのは、私だった。私は、うれしくてとびはねた。私以外は、みんな悔しがっていた。とても楽しい時間で、満たされた私は帰りの車の中で疲れて、寝てしまった。
 目を覚ますと、家にいた。ソファーの上だった。誰かが、私の上に布団をかけてくれていた。頭の中は、ぼやけたまんまだったが、目の中に光が入った。私は、そこに近づき、すーっと、静かにふすまをあけた。すると、やっぱりそこには、母がいた。
 私は、この母の後ろ姿が好きだ。後ろから見た姿は、正面とはちがって、未来に向かっているように見える。この後ろ姿のように私も頑張っていこうと、いつもはげまされるのだ。私もいつかこんな後ろ姿で誰かに勇気をわけてあげたいと思った。そんなことを考えながら、私は静かにふすまを閉めた。
 一度寝た私は、目が覚めてしまい、リビングでテレビを観てのんびりとしていた。
 しばらくして、再び私は、ふすまの母をまたちょっと覗こうとした。すると、母は、疲れたのかそのまま寝てしまっていた。
 だから、私はそっと母がしてくれたように布団をかけて、耳もとでささやくように、
「頑張ってね。」
と、優しく言った。すると、母の寝顔が少し笑っているように見えて、私まで心が温かくなった。母への、大好きという気持ちが、心の奥からあふれだしそうになった。いつもは言えないけれど、今なら言える。ありがとうと。

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