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「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2019年度 第55回 受賞作品

西日本新聞社賞

みんなを結ぶばあちゃんのおせち

福岡市立  照葉小学校4年大澤 菜々子

「金柑を食べると、お金がたまる。」
と、おばあちゃんが言ったとたん、みんなが、金柑を食べ始めた。私は、おもしろくて、つい、笑ってしまった。
 私は、今年の冬休みもお父さんの実家である熊本のおばあちゃんの家でおせち作りを手伝った。かまぼこ、金柑、くりきんとん、すごぼう、かずのこなど、たくさんのものをお重につめた。
おばあちゃんに、
「どうして、おせちを作っているの。」
と、聞いてみた。おばあちゃんは、
「みんなにおいしいって、よろこんでもらうためにねっ。」
と、言った。私はまた、
「何日かけて作っているの。」
と、聞いた。おばあちゃんは、
「三日だね。」
と、言った。私は苦ろうして作っているんだなと思った。
 元日、みんなでおせちを食べた。おばあちゃんは、真っ先に結びこんぶをとって食べた。
「どうして、それから食べるの。」
と、聞いてみた。おばあちゃんは、
「結びこんぶ。ここにいるみんなをね、結ぶからね。」
と、言った。私は、ちゃんと意味を考えて食べているんだなと思った。お父さんはかずのこから食べている。
「どうしてそれから食べるの。」
と、聞いてみた。お父さんは、
「こりこりしておいしいから。」
と、言った。私は、お父さん、なんにも考えてないな、と思った。次に、お母さんはなにか考えているんじゃないかと思って、
「どうして、すごぼうから食べるの。」
と、聞いてみた。お母さんまで、
「おいしいから。」
と、言った。私はお母さんも何も考えてないな、と思った。おばあちゃん以外、ほとんどみんな何も考えずに、おせちを食べているみたいだ。私も何も考えず大好きなくりきんとんから食べた。だけど、おばあちゃんの願い通り、みんなよろこんで食べている。私はそれでもいいんじゃないかと思った。だっておばあちゃんのおせちは、みんなを結びつけているんだから。

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