2019年度 第55回 受賞作品
福岡県教育委員会賞
きゅうりで歯がぬけた
春日市立 春日野小学校3年まつ丸 かな
夏のある日、とれたてのきゅうりをもらいました。とってもがんじょうで、とげとげしていて、長くて、太くて、りっぱなきゅうりでした。
「これ、丸かじりしたい。」
前にアニメで見てあこがれていた食べ方です。家に帰って、すぐやってみました。
しんせんなきゅうりのあじはさい高。おなかいっぱいだし、ゆめがかなってまん足したわたしが、かがみの前で歯みがきを始めようとしたとき、
「あっ。歯がない……。」
ほんのすこししかゆれていなかった歯がきえていたのです。ショックでなきそうでした。わたしは、ぬけたにゅう歯をコレクションして、大じにしていたからです。
わたしは、きゅうりの丸かじりにむ中になって、大じな歯をのみこんでしまったことが、くやしくてかなしくてしかたがありませんでした。そこで、ティッシュを丸めてにせものの歯を作り、小さなふくろに入れました。それでもやっぱりあきらめられません。
「のみこんだ歯は、どうなるんだろう。」
気になったわたしは、人体の図かんでしらべることにしました。でも、のみこんだ歯がどうなるかなんて、どこにも書いてありませんでした。すると、父がインターネットでしらべたことを教えてくれました。
「ほんとかなあ。」
しんじられませんでしたが、まつことにしました。わたしは歯をとりもどすことができたでしょうか――。
くわしいことは話しませんが、次の日、わたしはぶじに歯をとりもどすことができました。父のお手がらです。もうにげ出さないように、わたしは、とりもどした歯をケースの中に入れ、にせものの歯のふくろといっしょに、ひき出しのおくにそっとしまいました。