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「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2019年度 第55回 受賞作品

福岡県知事賞

僕の優雅な冬休み

福津市立  福間中学校2年笠 優斗

 今年の冬休みは、去年よりも短い。そのかわりに宿題も、去年よりは少なかった。これはラッキーだ、優雅な冬休みを過ごせるぞと僕は思った。冬休み初日の朝は、優雅にサックサクのクロワッサンをかじっていた。そんな朝食タイムに、ピンポーンと我が家のチャイムが鳴った。何かが起こる予感がした。せっかくの休みがと思いつつもしぶしぶ玄関のドアを開けると、そこには同じクラスの友達が立っていた。
「もちつきに行こう。」
と誘われた。このときの僕の予定では、優雅に家でゲームをしながらゴロゴロして、最高のぐうたら生活を送るつもりだった。ちょうど外の天気は、雨がパラパラと降っていて、僕の予定と天気は気が合っていた。しかも、友達の話をよく聞くと、僕の住んでいる地区外のもちつきで、面倒だし断ろうと思った。すると、友達がさらに言った。
「このもちつき、ボランティアなんだよね。昔ながらのやり方でするらしいから、一緒にやってみない。」
と言われて、面倒な気分が大きく占めていたけれど、やってみようかなという思いになり、もちつきが行われている公民館に行くことにした。家の外へ一歩出ると、冷えた風がきて寒かった。背すじを丸めて、ぶるぶるふるえ、友達とくだらない話をしながら、公民館へと向かった。
 公民館に着くと、そこにはたくさんの人がいた。ちょうど僕らが着いたときに、もち米が炊けたようだった。もち米をつぶして、大人の人がもちをつき始めた。もちをつくと、パチーンという、とても気持ちの良い音がなった。このもちをつく光景を見て、僕も友達も口を開けてぼう然となり、つっ立っていた。こんなに迫力があるのかと驚いた。僕の地区でも行われるけど、子どもたちがわきあいあいともちをついているのしか知らなかったのだ。こんなに力がいるのかと、初めて知った。立って見ていた僕らに気づいた声の大きな地区のおばさんは、
「中学生が来てくれるなんて嬉しいね。さっそくもちをついてもらおうかね。」
と声をかけてくれた。僕たちはよしと意気込んでやってみたが、なかなか上手くもちをつくことができなかった。ちょっと疲れが出て、大人の人と交代をしてもらいながら、どうやったら上手につけるのだろうと考えつつ、そばにあったできたての粒あんのもちを一つ手に取り、口に入れた。すると、できたての温かいもちが、僕の冷えきった体を温めてくれた。口に入ったもちは、とても弾力があって、ほのかな甘みが全身に染みた。何だか力が湧いてきた。そうだ、もう少し力を入れてもちをついたら良さそうだと、改めてもちつきへと意気込んだ。交代してもらって、全身に力を込めてつくと、さっきよりも音が大きくなって、いい音が鳴った。僕たちは少しずつコツをつかんでいって、たくさんもちをついた。体力も限界になったころ、最後のもち米がきた。あの声の大きなおばさんが、
「これで最後だよ。頑張って。」
と声をかけてくれて、友達ときついけど一生懸命やろうと話した。何だか分からないけれど、まだできると思った。それでももちをついていると体がふらふらになってきて、無理かもと思ったそのとき、あのおばさんがまたもや、
「頑張れ、まだいける。いけ!いけ!」
ともちをつくたびに応援してくれて、僕たちは力が湧いて何とかやりきった。冬なのに汗だくになっていると、
「あんたたちのおかげだね。今年はいいもちつきだったよ。」
と言われた。僕は、とても嬉しかった。最後のもち米で作られたもちを食べると、本当においしかった。頑張るってこういうことかと思った。もちつきが終わって、おみやげにと何個ももちをもらった。
「来年もまたおいでよ。」
と地域の方々が声をかけてくれた。「来年は受験生になるから勉強したいけど……」と思っていたが、僕は大きな声で
「はい。」
と返事をしていた。
 行きはあんなに寒かったのに、帰りは何だかふわふわと温かかった。友達と帰りながら、ボランティアって力が湧いてくるんだなと思った。こんなに周りの人は優しく、人との関わりは面白いものなのだと改めて気づいた。僕の予定の優雅さとは違ったものだったが、これもなんて優雅なんだと思った。この優雅さを皆にも味わってもらいたいものだ。

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