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「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2019年度 第55回 受賞作品

福岡県知事賞

感謝の気持ちを込めて

久留米市立  合川小学校6年T・S

 「どんな感じに書いたらいいかなあ。」
真っ白い紙の前に座り、ぼくは首をかしげた。年賀状…。学校の宿題で先生に書かないといけない年賀状…。友達に送る年賀状なら、ふざけておもしろおかしく書いてもいいけど、先生に送る年賀状だから、真面目に書かないといけない。デザインを考えるのもちょっとめんどくさいなと思っていた。ぼくの頭の中も、この年賀状と同じように真っ白だった。考えても考えても何も思い浮かばなかった。
 しばらくして、お母さんがちょっとあきれた様子で、
「お兄ちゃんに相談してみたら。そういうの、得意でしょ。お兄ちゃん。」
と言った。確かに。お兄ちゃんは絵が得意だから、きっといいアイディアを教えてくれるだろうと思った。早速、お兄ちゃんに相談した。すると、お兄ちゃんは笑いながら、
「もしかして、年賀状書くのめんどくさいと思ってる?」
と言った。ぼくは、ぎくっとした。
「うん。どう書いていいかわからないんだ。」
と言った。お兄ちゃんは、
「そうか。でも、年賀状を書けることはとても幸せなことなんだよ。」
と言った。ぼくは、その意味がわからなかった。するとお兄ちゃんは、
「『あけましておめでとうございます。』と書けることは、今年一年身内に不幸がなかったということなんだよ。ぼくも小学六年生のときに、担任の先生に年賀状を書く予定だったけど、おばあちゃんが亡くなったから、寒中見舞いを書いたんだよ。も中だから、はでに絵もかけず、文章ばかり書いたけど、『あけましておめでとうございます。』とは書けなくて、とても悲しかったんだ。」
と言った。ぼくは、年賀状をそんなふうに考えたことがなかったので驚いた。今年も、身内に不幸がなく、元気に過ごせたことに感謝をしないといけないと気づいた。そして、無理に上手に書こうとせず、めでたい気持ちを楽しんで書いてみようと思うようになった。
 それから、お兄ちゃんに教えてもらいながら、富士山や初日の出、えとのねずみなど、めでたいものをたくさん描いて色をぬった。真っ白だった年賀状がカラフルになり嬉しくなった。そして、心をこめて、「あけましておめでとうございます。」と書いた。改めて書くと、とてもいい言葉だと思った。今まではただ年が明けただけなのに、「おめでとうございます。」と言うのは、何だか変だなと思っていたけど、無事に年が明けたことに感謝をして、「おめでとうございます。」と言うのはとても大切なことだと思うようになった。日々の暮らしに感謝できる幸せの言葉だと思う。そして、年賀状は幸せの証なのかもしれない。
 これからも、感謝の気持ちを込めて、楽しみながら年賀状を書きたいと思う。

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