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「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2018年度 第54回 受賞作品

RKB毎日放送賞

みんなと生きる喜び

私立  久留米信愛中学校1年北島 凜

 「ねえ、これちょうだい。」
「ダメ、これがないと困るけん。」
「いやだ。ねえ、ちょうだい。」
「ダメっていいよるやん。」
「ウェーン。」
とお決まりのように泣きだす妹。私が宿題をしているといつも横からやって来ては私が使っている消しゴムや筆箱の中に入っているボールペンや定規などを欲しがります。だめだと言っても、全然言うことをききません。新品の消しゴムをかわりにあげると言っても
「お姉ちゃんが今、使っているのが欲しい。」
と言ってゆずりません。「なんて頑固な子だろう」本当に言うことをきかなくていつも妹にイライラしています。
 他にも、宿題が終わらなくてバタバタしているのに
「折り紙で、しゅりけん作って。」
と寄ってきたり、ピアノの練習をしているときに
「自分も弾く。」
と私の手を払いのけて横から入ってきたり。わがままばかり言って、本当にいつも大変です。
 ある日、部活動で帰りが遅くなってしまいました。家の人はみな夕食を食べ終わっていて、一人で夕食を食べることになりました。「ああ今日は妹にじゃまされずに、ゆっくり夕食を食べられるぞ」とホッとしました。でも、おなかがすいているはずなのにちっともはしが進みません。私は、ふと思いました。「いつもなら隣に楽しそうに夕食を食べている妹がいるのにな」妹やみんながいないと食卓は笑い声もなくシーンとしていて私はとてもさみしくなりました。それだけではありません。今日の夕食は、祖母が作ってくれたふわふわの親子丼ぶりで、私が小さいころからの大好物です。それなのに、いつものおいしさが今一歩感じられませんでした。私は、おいしい親子丼ぶりがいつもあんなにおいしいのは、みんなでワイワイ、ガヤガヤおもしろい話をしながら、笑顔で食べていたからだと改めて思いました。私は、みんなの笑顔が親子丼ぶりをおいしく食べるための大事な隠し味だったと気付き、早く食べてリビングでテレビを見ているみんなに会いたいと思い、急いで手を動かしました。
「ごちそうさまでした。」
と大きな声で叫び、ドアをガラガラとあけ、リビングの部屋に入りました。すると妹が、私のところに走ってきて、
「お姉ちゃん一緒に、お絵かきして遊ぼう。」
と言って私の手をひっぱり、楽しそうにクレヨンとコピー用の白紙の印刷紙をとりにいきました。いつもだったらもったいないから裏紙使ってと言うのに、この日は妹が笑顔でさそってくれたのがうれしくてうれしくて、何だか妹の笑顔でとても心が落ち着きました。いつもの妹に厳しい私がどこかに行ってしまったみたいでした。そして、祖母も
「今日の学校どうやった。」
とやさしく聞いてくれて、みんなの顔を見ると、私は笑顔になれて元気がでてきました。「あっそうだったんだ」私は、とても大事なことに気付きました。「さっきの親子丼ぶりを食べていたときもだけど、親子丼ぶりをおいしくするのも、私を笑顔にして元気づけてくれるのもすべて、妹やみんながいつもすぐそばにいてくれるからだったんだ。ただ、すぐそばにいてくれるだけで。ありがとう。」私は、そう心の中でつぶやきました。
 中学生になって、反抗期にも少しはいってきています。ただでさえ学校生活やテストなどでつかれているのに帰ってもいろいろ注意されます。この前も、テレビを見ていると、
「テレビ見ないで早く今日の宿題しなさい。」
と注意されました。時々、めんどうくさいと思う時があります。でも、やっぱり私はみんながいるから毎日、頑張れるのです。もちろん友達も同じです。たまには、けんかもするけれど、友達と一緒にいると、気付いたらいつのまにか笑顔になっています。私は、身の周りの人を日ごろから大事にしないといけないことが分かりました。妹や家族、友達も生きているからいつ命を落とすか分かりません。だから、毎日毎日その人たちといる時間を大切にかみしめながら生きていこうと思います。
 今でも、学校の帰りが遅くなって一人で夕食を食べることがあります。でも、私は帰り道に自転車をこぎながら、少しでも早く帰ってみんなとすごせる時間を一分でも一秒でも作ろうと思い、自転車を勢いよく走らせて帰っています。「いつかこのことを妹に語る日が来るのかな。」親子丼ぶりを食べながら。

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