2018年度 第54回 受賞作品
RKB毎日放送賞
ぴかぴかの玉子やき
うきは市立 千年小学校3年合原 りょお
「ぴかぴかの金メダルみたいだ。」
十二月のおべん当の日に作った玉子やきの味は、ちょっぴりしょっぱくて、でも、ほんのり甘かった。そして、思い出の玉子やきになった。
毎月一回ある「おべん当の日」は今まではずっと母が作ってくれていた。けれど、今回は先生から、
「おべん当作りにチャレンジしてみましょう。」
と言われたこともあり、自分で作ってみることにした。
だけどぼくは一人では何も作れない。こまったな、どうしよう……。そうだ、中学生の姉に教えてもらおう!姉は、ぼくの話を聞くと、みけんにしわをよせて、とってもいやそうな顔をした。
おべん当の日の前日になった。
「お姉ちゃん、どうやって作ると。教えてよ。」
ゲームにねっ中していた姉のかたをぽんぽんとたたいた。よっこらしょという感じで立ち上がり、ゆっくりと台所にきた。
やっと教えてくれる気になったのかと思ったら、姉は「しょうゆ、入れすぎ」だとか「まいた形がへん」だとか文くばかり。ついつい、ぼくも、口をとんがらせて、
「だって、はじめて作るっちゃけん仕方ないやん。」
と、ぶすぶすつぶやく。あんまり言われるもんだから、ついにぼくは、
「そんな言わんで!」
と大きな声で言い返した。
それからは、だまったまま、ぼくのすることをじっと見ていた。
「言いすぎたかな。せっかく教えてくれているのに。」
たまごの周りがかたまり始めたので、フライ返しでエイッとひっくり返した。フライパンの上できれいに一回転。黒くこげてしまっていた。
「あぁ、また、しっぱいって言われる。」
ちらっと姉の方を見ると、一言こう言った。
「ひっくり返すの、うまかったよ。」
いがいな言葉におどろいた。
そして、おべん当の時間がやってきた。一口食べると、きのうのことが思い出された。見た目はいまいちだったけど、ぼくにとっては金メダルの玉子やきだ。