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「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2018年度 第54回 受賞作品

福岡県知事賞

福津の未来を語る

福津市立  福間中学校3年中田 結衣菜

 皆さんは、自分の住む街が今後どのように変化をしていくのか考えたことがあるだろうか。私が住んでいる福間は駅を中心に新しいものがどんどん立ち並び、都市開発が行われている。また、自然も豊かだ。青々としたきれいな海や緑の生い茂った松林が広がっている。人と自然が融合された街。果たしてこの福間は今後どのような変化を迎えていくのだろう。
 私は、夏休みを使ってある会議に参加した。それが「ふくま郷づくり未来会議」である。ふくま郷づくりの会の会長さんをはじめ、お年寄りの方から小さな子どもまで、地域に住むおよそ五十人が集まり、福間の未来について語り合った。なかでも「これからも残したいふくまの宝」と「もっとこんなふくまにしたい」という二つのテーマは白熱した議論になった。
 私が「これからも残したいふくまの宝」として思い浮かべたのは「松林清掃」である。私の通う中学校では、全学年で福間海岸の松林清掃に取り組んでいる。松林は、塩害から私たちの生活を守るために必要なものだ。しかし、現在この松林の保全活動を行っているのは、地域の高齢者の方々なのだ。そこで中学生がボランティア活動を通して未来に松林を残していこうと努力することは大切なことだと思う。松林清掃こそ、これからも続けていかなければならない宝だといえるだろう。
 そして、「もっとこんなふくまにしたい」というテーマでは、「海沿いにドッグランを作りたい」「昔懐かしの駄菓子屋の風景を取り戻したい」「大きな公園や体育館があれば」など、参加者の方々のそれぞれの思いが語られた。そこには、集まった人々の生活に沿った未来の街の姿があった。
 しかし、私が提案したいことは、新しいものづくりをするだけではなく、「人とのつながり」を大切にする街づくりだ。確かに、大きな公園やドッグランなどがあると、助かる人々がいて楽しい気持ちにもなるだろう。しかし、ものづくりだけでなく、人とのつながりこそが街や未来をつくるのだと、この会議に参加して感じた。私はこの会議で地域の方々と新しい未来を想像して楽しく語り合い、つながりを持つことができた。会議終了後には、郷づくりの会の会長さんから次の言葉をかけられた。「未来をつくるのは皆さんです。ふくまの未来を皆さんに託します」と。この言葉から未来に対する責任の重みも感じた。
 私は社会の授業でも「未来に対する責任」というものを学んだ。皆で市議会議員になったつもりで予算案を出し合った時のことである。「この事業は廃止すべきだ」「廃止になると困る人がいる」など、あらゆる視点から物事を考えた。議員となると、市民のために何億という大金を扱うので、責任の重みも増した。市民の願いを全部叶えたいという思いはある一方で、そう簡単にはいかないということにも気付いた。
 会議や授業を通して未来に思いを馳せていると、ふと小さいころに描いた未来像が思い出された。便利なものが増えて今とは違った生活があったり、空には見たことのない乗り物が飛んでいたり……。非現実的な未来があったのだが、私は中学生となってだんだんと物事を理解し、本当に大切なものが分かるようになった。どんなに未来が変わっても、変わらない大切にしなければならないものがある。それが、人とのつながりである。新しいお店やテーマパークができたら、それはやはり嬉しいものだ。でも、私は知識として学んだのだ。その設備に莫大なお金がかかることや視点が変われば必要だと感じない人がいることを。そのなかでも、さまざまな人が出会って目と目を合わせて話をしていくと、その施設に対して違った意見が出てくる。そして、同じ施設であっても、人々が必要とする新たなものが生まれてくるのだ。つまり、未来は必ず変わっていくのだが、人との出会いによってもっと違った未来へと変わっていくということだ。だから、私は人との出会いをこれからも大切にしていきたい。皆さんは、今住んでいる街に対して、どんな未来を描いているだろうか。その皆の願いを叶えてくれるのは、誰だろうか。実は、一人一人がまず未来に対する考えを持ち、自分の考えを人に伝えたり、人から意見を聞いたりすることが実現への一歩となるのだ。その一歩を踏み出すためにも、私は今ある街の宝を守り続けると共に、たくさんの地域の方々との交流の機会を大切にしていきたいと思う。たくさんの人の想いが詰まっている福間だということ、これからの福間を支えていくのは自分たちなんだということをしっかりと心に留めて。

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