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「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2017年度 第53回 受賞作品

西日本新聞社賞

経験は必ず役に立つ

福津市立  福間中学校2年中田 結衣菜

 汗を流しながら一生懸命働いた職場体験。私は神社で職場体験をさせていただいたが、とても充実した五日間だった。あれから二ヶ月。学校にいると神社のことはあまり意識しないし、意識するとしても「掃除はきれいな心で」ということくらい。職場体験での思い出が心の中で少し薄れ始めていた。しかし、この冬休み、職場体験での思い出を鮮明に思い出し、その経験を大いに生かすことができたのである。

 二〇一八年、家族で初詣に行ったときのこと。神社の鳥居を見た瞬間、職場体験のことを思い出した。毎日鳥居に深く一礼してから神社へ入っていたことがなつかしく思えた。周りの人は誰も礼をしていなかったけれど、私はしっかり礼をして神社の中へと入った。やって当然のことなのだが、いいことをしたような気分ですがすがしい気持ちになった。

 すがすがしい気分で歩いていたら、母の姿が目に留まった。堂々と道の真ん中を歩いていたのだ。そういえば私も職場体験中に注意されていた。

「神社の道の真ん中は正中といってね、神様がずーっと通ってある 道なんだよ。」

と教えていただいたことを鮮明に思い出した。当時の私と歩いている母の姿が重なったように思えた。私はすかさず母に声をかけた。

「道の真ん中は神様が通ってあるんよ。」

とそっと言った。すると母は

「えっ、そうなん、知らんかった。」

と言ってすぐ道の端へと移動していた。みんながあまり知らないことを職場体験で知ったと思うと、とても有意義な五日間だったなと改めて思った。

 神社の参拝マナーを知らない人・勘違いしている人はかなり多い。弟は手と口をすすぎ身を清める手水の作法を間違っていた。正しい手水の作法は左手を清め、右手を清める。そして左手に水を受け、口をすすぎ、再び左手を清める。最後に柄杓を持ち、残った水で柄を洗い流す。この一連の動作を一杯の水で行わなければならない。ところが、弟はそれぞれの動作に一杯ずつ使っていた。たしかに私も職場体験で教わるまでは正しい手水の作法を知らなかったが、いざ正しい作法を知ると間違った作法をしていた自分を、そして、のんきに手を洗っている弟を恥ずかしく感じたのである。弟に

「一杯で全部するんよ。」

と教えると

「えっ、知らんかった。ありがとう。」

と言ってくれた。素直にうれしかった。

 私はこの初詣で感じたことがある。

 それは「経験は必ず役に立つ」ということだ。「鳥居には一礼」「神社の道の真ん中は歩かない」「手水のときに使う水は一杯」など、日常ではあまり使わないこともあれば、「掃除はきれいな心で」という日常的なことまで、職場体験で学んだからこそ今回の初詣や日常生活で生かすことができていることがたくさんあったのだと気付いた。経験が役に立っているんだと実感した。確信した。特に「ありがとう」と言われたときは、このことを強く感じることができ、思わず笑顔がこぼれた。「うれしい」と感じることができたのは、自分の経験が人の役にも立ったという喜びがあったからだと思う。

 これからは「経験は必ず役に立つ」ということを忘れずに自分の人生をもっと豊かで、もっと良いものにしていこうと思う。まだ十四歳なのでできることは少ないかもしれないが、失敗をおそれずにいろんなことにチャレンジしていきたい。もし失敗したとしても、この経験が次へ役に立っているんだとプラスに考えるようにしようと思う。例えば来年の受験に向けて。難しい問題も解くことになると思うし、勉強をやめたくなるかもしれない。けれども、間違ったり、戸惑ったりすることも自分の将来につながっていると信じて、前向きに前向きに努力していこうと思う。努力すれば、希望の高校に行けて、目指す大学に行けて、バリバリ働けるキャリアウーマンになれて、すてきな人に出会えて、幸せな人生を歩んでいけるかもしれない……。人生は無限大、夢は無限大だ。完璧な人はいないけれど、完璧な人になろうと努力することはできる。さらなる高みを目指したい。

 そして、自分のためになることはもちろん、誰かのためになるような行動を心がけ、すばらしい人間へ少しずつでも近づけるように頑張りたい。生きていられることへの感謝も忘れないようにしようと思う。

 大切なのは、今を大事に生きることだ。

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