2017年度 第53回 受賞作品
福岡県教育委員会賞
そ父はライバル
福岡市立 田島小学校3年金井 歩大
「ただいまあ、じいじやるよ。」
そ父の家に帰ると、さっそく重たいしょうぎばんをい間の真ん中にはこび、しょう負を申しこんだ。
「きちんと帰せいのあいさつが先。」
母にしかられても、ぼくは待てない。このしょう負は、夏休みからのいんねんのし合だ。春にしょうぎを父に教えてもらい、母にあっしょうできるほど強くなったぼくは、夏休みにそ父にちょうせんしたが、そうあまくはなかった。
「なかなかやるな。次は負けるかも。」
そ父からほめられ、この冬休みのし合のために、テレビや本でしっかりべん強してじゅんびしていたのだ。
「しゅく題もそれくらい集中してね。」
と母に言われるほどだった。
いよいよ対局の始まりだ。そ父のしょうぎばんは、ぼくのプラスチックの物とはちがい、ずっしり大きくて、プロの対局みたいできんちょうする。
「パチッ。」
そ父は、ふりび車というせんぽうでせめてきた。ぼくは、心の中でにやりとした。本で学んだとおり、銀しょうのこまで守る。そ父ゆう位で進んだが、ぼくも負けてはいない。いよいよチャンスとう来。あと一手でぼくのかちだ。しかし、そ父に手を読まれ、なかなかしょう負はつかない。そして、また大チャンスだ。心を読まれないように、平気な顔をつくるのはたいへんだ。
「王手。」
そ父はにげ道がなくなり、頭を下げた。
「まいりました。」
「やったあ。」
と、大声ではしゃぎたいけれど、マナーい反だ。ぼくも深ぶかと頭を下げた。
「ありがとうございました。」
待ちに待ったそ父へのはつしょうりだ。冬休みのせいせきは、四しょう四はいで引き分けだ。ぼくの上たつにそ父もおどろいて、
「じいじもテレビでべん強するぞ。」
とせん言していた。
「次の対局までおたがいがんばろうね。」
ライバルとちかい合った。