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「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2016年度 第52回 受賞作品

RKB毎日放送賞

おじいちゃんのさつまいも

福岡市  筥松小学校5年篠原 果林

 秋になると、畑にはごろごろとさつまいもの山ができています。おじいちゃんの作るさつまいもです。私は毎年このさつまいもをとても楽しみにしています。おじいちゃんの作るさつまいもは、ほっくほっくで中は真黄色で甘く、口の中に入れるとふわっとおいしさが広がり最高です。毎年、たくさんのさつまいもがとれ、近所の人たちにも配っていました。

 ところが、「今年はさつまいもを作らん。」とおじいちゃんが言い出したのです。どうしてかと聞くと、いのししから畑をあらされ、やっと大きくなってきたなと思ったところでほり起こされ、全てのさつまいもが食いあらされてしまったと言うのです。おじいちゃんはとても悲しそうな顔をしていました。

 最近、テレビのニュースなどで山からいのししがおりてきて、畑の作物をあらしてこまっているというのを私も知っていましたが、こんな身近なところにもいのししの被害があることを知りました。いのししも山に食べる物がなくてかわいそうだなと思いましたが、おじいちゃんのさつまいもはやめてと私は心の中でさけびました。おじいちゃんが一生けん命さつまいも作りをしていたことを知っていたからです。

 六月ごろになるとおじいちゃんは苗をさがしてあちらこちらと苗を買いに行っていました。さつまいもには紅あずま、なると金時、安のういも、むらさきいもと色々な種類の苗を植えていました。毎日、畑の手入れをして私に必ず、

「さつまいも楽しみにしていてね。」

と言っていました。それがいのししとの戦いが始まってしまったのです。いのししの対さくとして、さくを作ったりあみをかけたりと色々なことをしたそうですが、すべていのししの勝利。おじいちゃんもいのししとの戦いにつかれてあきらめてしまったのです。

 それから、おじいちゃんのさつまいも作りは終わってしまいました。もうさつまいもを作らなくなって二年がたちます。秋の季節になり、さつまいもを見るとおじいちゃんのさつまいもを思い出します。

「いのししもきっと私と一緒でおじいちゃんのさつまいもが 好きだったと思うよ。」

と、おじいちゃんに言ってあげると、おじいちゃんもとてもうれしそうに

「おじいちゃんのさつまいもは人気だから。」

と笑って言いました。

 私はまたいつか、おじいちゃんがさつまいも作りができるようになる日が来ると信じています。おじいちゃんのさつまいもには、甘さだけではなくおじいちゃんの思いがぎゅっとつまっています。また、そんなさつまいも作りができるようになるまで、いつまでもいつまでも元気で長生きしてほしいと思います。

 おじいちゃんのさつまいもは世界で一番大好きです。

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