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「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2016年度 第52回 受賞作品

RKB毎日放送賞

手のひらのマメは努力の勲章

久山町  久原小学校4年廣橋 実來

 逆上がりができた瞬間、私は、

「えっ。できたんだ。」

と思いもよらないことが起き、びっくりして体が止まった。

 私は今まで逆上がりが苦手で、どうしてもできなかった。足が上にあがらず、ストンと足が地面に落ちる。そのたびに、ため息がでてきた。

 逆上がりができた瞬間、手のひらを見た。いくつかのマメや皮がむけたマメ。がんばって練習を重ねた私の勲章だ。

 数週間前に、鉄ぼうのテストがあった。逆上がりがどうしてもできなくて悔しかった。休みの日に、父と弟と一緒に学校の鉄ぼうで練習をすることにした。

 練習をすればするほど、手のひらに大きなマメが何個もできて、いたい思いをした。手のひらがいたいのと同じで、心もいたかった。

 父がスマホで動画をとって、どこができないかを教えてくれた。すると、けり上げた右足は上がっているのだが、左足が上がっていないことに気づいた。それからは、足のふり上げ方を集中して練習を始めた。それでもできなかったので、父が左足を持ち上げて、手伝ってくれた。父の一生けん命さが伝わってきた。

 隣で、

「やったー。一番高いところで逆上がりができたー。」

と弟がはしゃいでいた。私より小さい弟がひょいと逆上がりができることが、とても悔しかった。

 何度も何度も地面を右足でけり、左足を空高くまい上げた。

 父の

「あと少しで、左足が上がるぞ。」

というアドバイスが何回も続く。もう手のひらは赤くなり、ひりひりして、いたい。マメもできている。

 左足を思いっきり上げた瞬間、鉄ぼうをくるりと体が回った。

「できた。やっとできた。」

父は、うで組みをしながら、うれしそうな顔で私を見つめていた。弟は、両手を上げてバンザイをしてくれた。手のひらのいたさは、なぜかふき飛んでいた。手のひらのマメは努力の勲章。

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