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「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2025年度 第61回 受賞作品

RKB毎日放送賞

漢字なんて大きらい

私立  福岡雙葉小学校4年佐藤 絢音

「あれっ、なんだっけ。」
 頭の中から、すぱっと字が消える。三秒前にその字を見たはずなのに、漢字のノートを書く手が、また止まる。前のページにもどって、もう一度見る。
「今度こそ分かったぞ。」
わたしは、悲しい気持ちでノートを書く。でも、また手が止まる。いつもそのくりかえし。
 わたしのノートは、悲しさでいっぱい。文字がマジックのようにぱっと消えて、自分でもびっくりする。まるで光のはやさのように、わたしの中から消えてなくなって、ノートはまっ白。それでもどうにかノートを書く。何度も何度も書きなおして、ときどきページがやぶける。だから、漢字なんて大きらい。
 けれど、さいきん、少しだけ書くことがきらいじゃなくなった。漢字の宿題が毎回とてもつらくて、その気持ちをノートのはしっこに書いていた。
 おぼえても まるで消しゴム 消えていく
 もうだめだ 漢字はきらい じごくの戸
 がんばった わたしに花丸 バタンキュー
 いつからか、たんにんの先生が、わたしが書いた気持ちに、コメントを書いてくれるようになった。その日からまっ白なノートが、先生とのひみつの交かんノートになった。漢字はいつかまたわすれるかもしれない。でも、先生とのやりとりは、たぶんずっとわすれない。先生とやりとりしているときだけ、ほんのいっしゅん、わたしは漢字が好きになる。
「あれっ、なんだっけ。」
 おぼえたはずの漢字をまたわすれて、好きになった気持ちは、すぐに消えてしまう。でもきっと、なかったことにはならないから。

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