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「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2023年度 第59回 受賞作品

RKB毎日放送賞

不撓不屈

私立  飯塚日新館中学校1年豊原 隼人

 僕が一生懸命打ちこんでいるのは、水泳です。小学六年生のときに三分四十秒で二十五mクロールのテストに合格することができました。そこから一年間休まず練習することで、中学一年生の四月に二十五mクロール四十五秒という記録を出すことができました。僕はこの経験から諦めない、ということの大切さを学びました。
 僕は、生まれつき足が不自由で、ほぼ全身の筋肉の緊張が強く(主に下半身)かかとが浮いて、常につま先立ちの状態でした。そのため、普通の靴を使うことができず、装具(支柱が二本入ったかかとをベルトで固定する靴)をはいていましたが、小学四年生のときに、アキレス腱延長という手術をしました。その手術のおかげでかかとを地面につけて歩くことができるようになりました。苦しいリハビリを繰り返し、僕はみんなと同じ靴を履くことができるようになったのです。だけど、まだ完全にみんなと同じになったわけではなく、歩き方がぎこちないので、足を真っすぐだせるように一生懸命努力しました。諦めないという意味をもつ四字熟語は、剣道で使われる「不撓不屈」であることを知りました。不撓不屈の精神をもって歩くことで、ぎこちなさが少しずつなくなりました。僕は、いろいろな試練を不撓不屈の精神で乗り越えてきました。
 中学生になって初めての体育大会。「一年生徒競走」は足にハンディがある僕にとっては大きな試練でした。他の人より距離を短くしてもらったので、一位にならなきゃダメだろうと思い、僕は家のろうかで毎日走る練習をしました。入学して最初に行われた、「目指せオリンピアン」で近大生に教えてもらった太ももをしっかり上げることや、前傾姿勢にならないことを努力しました。そして体育大会当日、僕は一番にゴールテープを切ることができて嬉しかったです。
 この時の成功が二か月後にある二十五m背泳ぎのテストに合格できる自信へとつながりました。背泳ぎの合格条件は、「リズムがしっかり取れている」「浮くことができる」「真っすぐ進める」「二十五mを泳ぐ」という僕にとってハードなテストです。僕は合格条件を先生から聞いて正直不安でいっぱいでした。僕の中では、「浮くことができる」と「真っすぐ進める」は、できていると思うので、できていない「リズムがしっかり取れている」と「二十五m泳ぐ」の二つを重点的に練習しようと決めました。「リズム」の改善策は、頭の中で、「1、2、1、2、」と言い続けるようにしました。「二十五m泳ぐ」は、いつも十mぐらいで形がくずれてしまうのでくずれないように力を入れることにしました。テスト本番まで練習はあと三回しかなく、限られた練習で合格できるように頑張りました。自分に「大丈夫、できる。合格できる。」と言い聞かせ続けました。
 でも途中で、「また二か月後にもテストがあるし、落ちても……。」しかし、「そんなこと言い出したらいつまでたっても合格なんてできない」と自分に言い聞かせました。僕は、絶対に諦めたくありませんでした。
 テスト当日、同じクラスの人達が次々と泳いでいきます。僕の緊張が少しずつ強くなりました。とうとう、僕の番がやってきました。プールに入り、先生の「豊原君。ヨーイ、スタート」の合図が聞こえると緊張が自信に変わり、「大丈夫、僕ならやれる。」と思いました。常に頭の中で、「1、2、1、2、」のリズムを刻みました。「もう少しでゴール。頑張れ僕。」あせらずリズムを保ち、そのまま最後まで泳ぎきることができました。ゴールしたとたん、僕の気持ちは「もし、落ちたらどうしよう。」という少しあせる気持ちと「大丈夫、やれるだけのことはやったからきっと合格だろう。」という自信満々な気持ちが交互に押し寄せました。先生が、「結果発表。」と言ってみんなに結果を伝えました。いよいよ僕の番。先生が僕の前に立つと心臓がドクドクと鳴り出しました。「合格だよ。おめでとう。」と言われました。先生と握手したときの気持ちと達成感を僕は今でも忘れません。諦めなくて本当によかったと思いました。
 僕は、もうすぐ中学二年生になります。「何事も諦めず、挑戦していく気持ちをずっと持ち続ける」ということを常に心掛けています。初めから無理だと思って諦めたらそこで試合終了なので、諦めずに挑戦したら、きっと成功できると思っています。僕にはこれから、徒競走、水泳、それ以外にも困難なことがたくさんあるかもしれません。でも僕は、諦めようと思いません。なぜなら、僕には「不撓不屈」という強い味方がいるからです。

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