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「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2016年度 第52回 受賞作品

全共連福岡県本部運営委員会会長賞

大切な人がいるということ

北九州市  熊西中学校1年山本 美徳

 私には、とても大切な人がいる。家族、友達、陸上のクラブの先生。私はこんなにも大切な人がいるということはすごく幸せなんだと思う。

 小学校五年生のとき、私は陸上のクラブの先生に出会った。先生はすごく大きな大会でもいい成績を残す選手を育てる方だ。でも年れいは七十六歳というおじいちゃん。しかし、七十六歳という年れいでありながら毎日何キロも走る元気な方だ。私はそんな先生が大好きだ。

 去年、小学校六年生の県大会。小学生は県で一位になると全国大会に出場できる仕組みだ。私にも一位になれる可能性は十分にあったと、先生はおっしゃっていた。今までの私の結果はほとんどが二位だったが、運がよければ私にだって一位になれるかもしれない。そういう気持ちで試合会場へ向かった。

 試合会場は福岡市にある大きな競技場だった。何度かここで走ったことはあったが慣れているわけではなかった。

 アップ後、私はとても気合いを入れてスタート地点へ行った。北九州で六位まで、福岡六位まで、計十二名なので、いつもよりずい分と組が少なかったのを覚えている。

 一組目が終わった後、私は三組だった。二組目では、北九州で一位の人が走る。結果は十三秒九四。次は私の番。十分に気合いを入れて走った。結果は十三秒七三。一位通過だった。そのときはとてもうれしかった。母もすごくよろこんでくれていた。

 私はそのとき、荷物をおいているベンチの場所で昼食を取り、アイシングをしたりして次のレースの準備をしていた。すると、クラブの先生が来られ、

「みーちゃん!五十mくらいから足あげんね!そしたらもっといい結果が出とったのに。」

いつ、どこから出てきたのだろう。先生は、神出鬼没なので、いつも私をおどろかせる。そして、すぐにだめ出しをする。先生はよく役員の仕事をしているので、声を出して応援することはできない。ましてや、遠くから見ているのに私のレースでだめだったところをみつけ、すぐゴール地点へかけつけてくださる。その事がすごくうれしかった。だめ出しを言われるのはけっこうきずつくのだが。

 そして決勝。みんな準備万たんだ。私はスターティングブロックに足をかける。そして、ピストルの音と同時に、足を出した。

 今はゴール地点。結果はおしくも二位で全国大会へは行くことができなかった。なにが、なにがいけなかったんだろう。先生に言われた五十mからも足をあげるよう意識したのに。母が

「おつかれ。悔しいけどしょうがないね。」

そう言った。全国大会に行けない……。私は悲しくて、トイレへかけこんだ。そして、大泣きをした。

 表しょう式で、放送で名前を呼ばれ、母や母の知り合いが私を探し、目が赤くなったまま表しょう台にのぼった。

「二位なんて。私は二位じゃなくて一位になりたかったのに、また二位……。」

ずっとそう思っていた。

 そして、その日の夜、先生から電話がきた。

「みーちゃん、残念やねぇ。まぁそんなときもあるわ!」

そのときの先生の言葉は、だめ出しではなく、はげましの言葉だった。そして、その電話が終わった後、私の心は少し軽くなった気がした。

 それから私は母と今日のことを話した。母は、

「きん張したんやろ。やけん体がかたくなってしまったんよ。一位の子なんて、肩の力もぬけとったけんね。」

私はなにも言えなかった。なんだか悔しくて、下を向いていた。そしたら、また母が

「まぁ、全国大会に行けんでも、もっと直さないけんとこを見つけられたんやけ、もう良しとしようや。来年、再来年行けたらいいんやけその日までがん張ろう。」

と言った。私は

「そっか……。全国大会へいけなかったのはとてもとても悲しいけど、そういうだめなところが見つけられたんだ……。」

と思った。そして私は今日のことを受け止めることができた。

 私はそんな大切な人にかこまれて生きている。大切な人がいるということはあたりまえでありながら、すごく幸せなことだと思う。だから、私はこれからも大切な人を大事に思いながら生きていこうと思う。

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