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「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2022年度 第58回 受賞作品

全共連福岡県本部運営委員会会長賞

写真の数だけ

福岡市立  金山小学校4年田中 瑛祐

「ピーッ、ピーッ、ピーッ。」
車がバックする音だ。お父さんが帰ってきた。お父さんが出かけている間、ねながらテレビを見ていたぼくは、五秒以内にゆかに落としたクッションをソファーにきれいにならべて、急いでソファーにすわる。
「ガチャ。」
お父さんが部屋に入ってきた。
「えいすけ、しせい。」
まただ。ぼくは、よくお父さんにおこられる。やっぱりお父さんは苦手だ。
「えいすけ、冬休みの宿題は終わったんか。」
ぼくが小さいころの話を、親に聞くという、「十才をいわおうの会」のインタビューの宿題だけが、まだ残っていた。お父さんに、そのプリントを見せると、答えるじゅんびをしてくれた。またおこられるかなと思いながら、ぼくは聞いた。
「今までにぼくを心配したことは、ありますか。」
「えいすけは、口数が少なかったから、友達が出きるか心配した。でも、気付けばたくさんの友達に囲まれて楽しそうだったから、すごく安心した。」
ぼくは、心がドクドクした。お父さんがこんな風にぼくの事を思ってくれていたなんて、知らなかったからだ。
 お父さんのインタビューが終わった後、お母さんが、ぼくの小さいころの写真を見せながら、教えてくれた。
「見て、すごい数やろ。何千枚あるかな。これほとんど、お父さんがとったんよ。だけん、お父さん、全然うつってないやろ。」
お母さんは続けた。
「えいすけの可愛いすがたやがんばっとるすがたを、しっかり残さないかんって、お父さんはずっと写真をとってきた んよ。写真の数だけ、お父さんは、えいすけの事を可愛いと思ったり、ほめたいと思ったりしてきたって事よ。」
ぼくは、また心がドクドクした。今までの十年間、ぼくはお父さんからおこられてばっかりじゃなかったんだ。
 これからは、ぼくも、お父さんのすがたをたくさん写真に残してあげよう。

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