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「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2021年度 第57回 受賞作品

西日本新聞社賞

小さなはがき絵にこめる思い

福岡市立  田島小学校5年高島 心

 「わぁ、おばあちゃんそれどうやって書いたの。」
わたしは、おばあちゃんのはがき絵を見ておどろいた。その絵には、何色もの絵の具が使われていて色あざやかだ。さらに、絵の具だけでなくラメも入れてかがやかせたり、歯ぶらしでもようを作ったりしている。
 おばあちゃんは特技としゅ味を生かして、毎年、年賀状を手書きのイラストで送ってくれる。おばあちゃんのはがき絵は、とても大きくてはく力があり自分ならではの色や工夫が入っている。だから、それを見るとわたしの目はかがやき、とてもうれしい気持ちになる。わたしも、こんな絵をかいてみたいといつも思っていた。
 そして、年末、手書きの年賀状にチャレンジすることに決めた。もちろん、教えてくれるのは、おばあちゃんだ。わたしは、おばあちゃんの絵をまねするだけではなく、自分オリジナルのはがき絵をかきたいと思った。
 おばあちゃんとわたしのはがき絵レッスンが始まった。すぐに筆を取り、絵の具から始めているわたしに、
 「先にクレヨンで線を書くと、絵の具がそのクレヨンにはじけてきれいに見えるよ。」
とやさしく教えてくれた。見ただけでは分からない色んなやり方があるんだなと、楽しくて仕方がなくなってきた。何度もやっていくうちに、だんだん自分の思うような絵がかけるようになってきた。ずっとそばで見てくれているおばあちゃんが、
 「上手になってきたね。何度もかくことで、いい絵がかけるよ。」
と声をかけてくれた。
 かいているうちにわたしは、気がついた。このはがき絵に失敗はなく、正解もないのだ。自分の思った通りにかくことが、はがき絵の楽しさなのだと分かった。おばあちゃんも自分の思った通りに、好きな様にかいている。例えば、りんごはりんごでも、赤ではなく色をまぜることで自分らしさが出て、人とはちがう絵ができるのだ。
 そしてもう一つ大事なことがある。おばあちゃんは、もらった人が喜ぶように絵をかいている。おばあちゃんのはがき絵には、わたしへのはげましのメッセージがおばあちゃんなりの絵にこめられている。相手のことを考えて自分の気持ちをこめてはがき絵を完成させているのだ。だから、おばあちゃんからもらったはがき絵を見ると元気が出るのだ。
 わたしのかいたはがき絵が完成した。この世界でたった一つのはがき絵だ。何だかとてもうれしくなった。はがき絵には、おばあちゃんありがとう、これからも長生きしてねの気持ちをこめて、ていねいにかいた。おばあちゃんにこの全ての思いが伝わるといいな。これからも、相手のことを思い、それをていねいに伝えられるような人にわたしはなりたい。

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