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「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2018年度 第54回 受賞作品

日本農業新聞賞

私の祖父母の野菜

私立  飯塚日新館中学校1年中西 惟理子

 私の祖父母は、毎日朝早くから、田畑へ行き、昼食をとって、また田畑へ行き、夜遅くまで働いています。祖父母が作る野菜やお米は、どこの野菜にも負けないくらいのおいしさです。
 私がこのようなことを考えるようになったきっかけは、小学生のとき、給食によく出る、ほうれん草とかぼちゃが苦手だったからです。だから、ほうれん草やかぼちゃが給食に出ると残していました。
 夏休みのある日、祖父母の家に泊まりに行くと、祖父母は、田畑にいました。その日の夕食には、苦手なほうれん草が入っていました。苦手なので皿の横によけました。すると祖父に、
「何でほうれん草ば横によけとるんね?」
と聞かれました。私は小さい声で
「ほうれん草が苦手やけん。」
と答えました。祖母が、
「一回ほうれん草ば食べてみんね。」
と言ったので、私は思いきって、ほうれん草を口の中にいれました。そして、ゆっくり、ゆっくり、鼻をつまんで食べました。すると祖母が、
「鼻をつままんで食べてみんしゃい。」
と言ったので、鼻から手をはなすと、久しぶりに食べたので、くせが強くて不思議な味を感じました。けれど、少しおいしく感じました。私は、祖母に、
「くせが強いけど、おいしく感じてきた。」
と言いました。すると祖母が、
「そうやろ、一回食べてみらんと分からんけんね。それと、愛情ばつまっとうけんね。」
と言いました。その言葉を聞いた瞬間、さっきほうれん草をよけたことが恥ずかしくなりました。次の日の朝食には、運が悪くかぼちゃが入っていました。横によけたかったけれど、昨日の祖母の言葉が忘れられなかったので、最初は鼻をつまんで食べて、後から鼻から手をはなして食べました。昨日と同様で、久しぶりに食べたので、不思議な食感でくせのある風味でした。けれど、最後まで食べることが出来ませんでした。私が残してしまったかぼちゃは、祖母に食べてもらいました。私は、せっかく祖父母が愛情を込めて作ったかぼちゃなのに残してしまったので申し訳ない気持ちになってしまいました。そして、後悔した気持ちのまま家に帰りました。
 次の年も祖父母の家に行きました。本当は、かぼちゃを残して、怒られると思ったので、あまり行きたくはありませんでした。でも、祖父母は、笑顔で迎えてくれました。その日の夕食に、またかぼちゃがでてきました。去年かぼちゃを残して、祖父母の悲しい顔を見てしまったので、絶対に残してはいけないと思いました。だから最初から鼻をつままずに食べました。今まで食べたことのないくらいおいしい味でした。その日の夕食は、完食でした。祖父母も笑顔でした。祖父母は、去年私が帰った後に、どうしたらおいしく食べてくれるか、考えてくれていたそうです。
 今では、好き嫌いせずに、苦手な野菜も食べられるようになりました。苦手な野菜がでてきても、この野菜を作ってくださった方々は、たくさんの思いで、作ってくださっていたのだと思うと、残してはいけないと思い、食べられるようになりました。この調子で、苦手な野菜を、少しずつ、少しずつ、なくしていきたいと思います。
 このように、祖父母は、自分たちが作った野菜を食べる方の気持ちを考えて、どのようにしたらおいしく食べてくれるのかを考えてくれています。誰よりも愛情がたくさんつまっているからこそ、祖父母が作る野菜やお米は、誰にも負けないくらいおいしいです。私は、祖父母にほうれん草やかぼちゃなど、苦手な野菜が食べられるようになったことに感謝しています。祖父母だけではなく、誰が作った野菜でも残さないで、そして、作ってくださったときの気持ちも受け入れながら、ありがたく、感謝の気持ちを込めて「いただきます」「ごちそうさまでした」と言っていきたいです。

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