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「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2018年度 第54回 受賞作品

日本農業新聞賞

ここきれいになったやろ自まん

うきは市立  御幸小学校4年行徳 有莉亜

「やったあ。冬休みだ。」
と幸せな気持ちで起きた冬休み初日の朝、うれしい気持ちが一しゅんにして重たい空気に変わった。母が、
「今日は年末の大そうじ日和ね。有莉亜、お手伝いよろしくね。」
と言ったのだ。私に待ち受けていたのは「大そうじ」という大試練だ。「せっかくの冬休みなのに。しかも寒い。夏休みにしとけばよかったのに。」と心の中でつぶやいたが、口に出すと怒られそうなのでだまっていた。朝食を食べたら、なぜ年末に大そうじをするのか気になり、調べることにした。
 すると、しょうげきの事実が分かったのだ。それは、「一年の間にたまったすすやほこりを落とすことは、その年のわざわいをはらうという意味もあり、きたないままだとその家の運もにげてしまう。お正月の神様のおむかえをするためのそうじである。」という言い伝えがあるそうだ。意味が分かると、私の大そうじスイッチが入った。
「私はどこをそうじすればいいの。」
「お風ろとトイレをよろしくね。」
 私は、かべやまどのさんなど、いつもはだれも気付かないすみずみまで、もくもくとふいた。ほこりやよごれもなく、ピカピカになったお風ろとトイレを早く母に見せたくなった。すると、父と母の声が聞こえてきた。
「ここきれいになったやろ。見てこのよごれ。これが取れたとよ。」
「本当ね。でも、ちょっとこっちにも来て。ここもきれいになっているやろう。油がべっとりやったとよ。」
どうやら二人は自分のそうじした場所がどれだけきれいになったのかを自まんし合っているらしい。
「トイレもお風ろもきれいになったよ。見に来てよう。」
私もかけより、会話に参加した。こうして、三人で「ここきれいになったやろ自まん大会」が始まり、そして年末の大そうじが終わった。
 母が、きれいになったかん気せんの下でにこにこしながら料理をしている。父と弟はスッキリしたリビングで遊んでいる。来年の今ごろも家族で「ここきれいになったやろ。」と言い合っているかな。来年もきっといい年になりそうな予感が私にはしてきた。

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