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「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2018年度 第54回 受賞作品

西日本新聞社賞

海に漂う未来への課題

福津市立  福間東中学校2年今屋 菜乃果

 私は魚が嫌いです。
 ある日の夕食のおかずに、サンマの塩焼きが出ました。一匹丸ごとだったため、私はきれいにほぐして食べることができず、身がボロボロになってしまいました。仕方なく食べていると、白い小さな粒のようなものが箸に当たりました。「これはなんだろう?」と気持ち悪くなり、食べる気が失せてしまいました。結局、そのサンマは食べられず残してしまったのですが、その後、白い粒のことが気になり、調べてみることにしました。
 調べてみたところ、おそらく白い粒の正体は、マイクロプラスチックと呼ばれるものだったようです。マイクロプラスチックとは、海や川に捨てられたプラスチック製品が、太陽光や紫外線、波力によって五ミリ以下のプラスチックへと変化したもののことをいいます。また、洗顔料や歯磨き粉に入っている研磨剤として使用されるマイクロビーズなども含まれます。世界の海には、五十一兆個のマイクロプラスチックが漂っているといわれ、世界的な問題になっているそうです。海洋生物がマイクロプラスチック自体と、それに付着した有害物質を摂取することによって、海鳥や人間の健康にも影響することが懸念されています。東京湾で釣ったイワシを調べたところ、その八割の消化管からさまざまなプラスチック片が出てきたという報告もあります。普段食べている魚に、プラスチックが混ざっているかもしれないという事実を知って、私はとても恐ろしくなりました。
 マイクロプラスチックのことを調べて、思い出したことがありました。今年の夏、私は家族と海に遊びに行きました。その時、ビーチボールを使って遊んでいたのですが、ふと気がつくとビーチボールが沖の方に流されていました。すぐに取りに行ったのですが、水深が深く、足が海底に着かなくなり、諦めざるを得ませんでした。その時は、ビーチボールがなくなってしまい残念としか思わなかったのですが、海を汚す原因を作ってしまったと、今になって反省しています。
 世界中でもプラスチック製品の使い捨てを自しゅくする動きが出てきています。コーヒーチェーン大手スターバックスは、プラスチック製の使い捨てストローの使用を、二〇二〇年までに世界中の店舗で全廃すると発表しています。微細なプラスチックごみによる環境汚染への懸念が高まっていることに対応しているとのことです。
 私は魚が嫌いです。しかし、大切な栄養源であり、健康のために必要不可欠だと思っています。でも今のままでは魚を食べられなくなってしまう日が来てしまうかもしれません。マイクロプラスチックの存在を知り、自分たちに出来ることは何か考えてみました。
 一、レジ袋をもらうのをやめる
 最近、レジ袋を有料にしている店舗が増えてきたので、買い物の際はマイバッグを使用しています。しかし、無料でレジ袋をもらえる店舗では、無料だし自宅でゴミ袋として使えるので、ついもらってしまいます。そんな悪い習慣を改めて、いつでもマイバッグで買い物をするようにしたいと思います。
 二、ペットボトル飲料やおにぎり、お弁当類の購入を控える。
 手軽だからという理由で、コンビニエンスストアで、ペットボトル飲料やおにぎりをよく購入しています。食べた後は、ペットボトルのゴミやおにぎりを包装していたビニールのごみが出ます。飲み物は水筒を持っていき、おにぎりは自宅で作っていけば、プラスチックゴミは出ません。少しの手間が、自分たち人間や地球の環境を守ることにつながると思います。
 三、マイクロプラスチックという言葉を世界中の人々に知ってもらう。
 マイクロプラスチックの存在を知らない人が、まだまだ多いのが現実だと思います。現に、私も自分で調べてみるまで知りませんでした。私たちが普段、何も知らずに使用しているプラスチック製品が、海や陸地でマイクロプラスチックというものとなり、蓄積されていっている……。その事実をたくさんの人々が知り、自分たちのできることをそれぞれがやっていくだけでも、マイクロプラスチックの増加を防いでいくことに繋がると思います。私が伝えられる人はわずかですが、家族や友人にも知ってもらい、少しだけでも今までの生活を見直していってもらえたらと思います。
 今まで人間は、自分たちの生活を便利で豊かにするために、さまざまな物を作ってきました。作られた当時は分からなくても、マイクロプラスチックのように、年月が経つにつれて有害性が現れてくるものもあります。プラスチックを使ってきたことが悪かったのではなく、これからどうしていくのかが問題なのだと思います。マイクロプラスチックの存在が明らかになったのですから、海の生き物や地球環境、そして自分たちの生活や未来を守るためにどうしていくべきか、一人一人が考えていく必要があります。これからは、人間だけが便利で楽をすることばかり考えるのではなく、地球環境や人間以外の動植物たちを幸せにする未来を、私たち若い世代が創っていきたいです。

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