2018年度 第54回 受賞作品
西日本新聞社賞
ぼくのひいおばあちゃん
福岡市立 平尾小学校2年わたなべ はると
「はるちゃん、よく来たね。」
ぼくには、岩手けんにすむ九十六才のひいおばあちゃんがいる。
ひいおばあちゃんは、にわでたくさんの花や野さいをそだてていて、夏にはいつもいっしょにしゅうかくをした。ひいおばあちゃんがそだてたもぎたてのトウモロコシは、とてもあまくてたまらないおいしさだった。
二人でカエルさがしにも行った。ひいおばあちゃんには、ひみつの田んぼがある。そこには大きなトノサマガエルがいて、あみで「えいっ。」とつかまえては、いつも二人で大わらいした。
冬になると、いつもいっしょに雪だるまを作った。ひいおばあちゃんはほっかむりをかぶってスコップで雪をあつめて、ぼくと妹で丸めた。小さいけどかわいい雪だるまができると、ひいおばあちゃんは長もちするように水をかけてかためてくれた。
ぼくは、たくさんもの知りで、目を見てニコニコわらってくれるひいおばあちゃんが大すきだ。けれど、ぼくが一年生の冬の一月から、ひいおばあちゃんが、「にん知しょう」というぼくのことを少しずつわすれてしまうびょう気になってしまった。
二年生になってぼくはふくおかにひっこしてきた。前みたいにすぐひいおばあちゃんに会いに行くことができない。
「今、何してるかなあ。かぜ、ひいてないかなあ。」
ふと考えることがある。ぼくのしゃしんを見ても、ぼくの名前を言うことができないそうだ。でもニコニコえ顔でずっとながめてくれているひいおばあちゃん。ひいおばあちゃんのやさしい目を見ながら、またたくさん話をしたいと思う。