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「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2018年度 第54回 受賞作品

西日本新聞社賞

わすれてはいけない日

私立  明治学園小学校3年とうげ あいり

 平せい三十年七月六日に、九州でたくさんの雨がふり、大雨とくべつけいほうが出されました。わたしのおじいちゃん、おばあちゃんが住む門司区おく田では土しゃくずれがおきました。おじいちゃん、おばあちゃんの家も土しゃくずれにあい、ひなんしました。
 その日はわたしの九回目のたん生日で、おじいちゃん、おばあちゃんがひなん場所から電話をかけてくれて、
「おたん生日おめでとう。プレゼントとどけられなくてごめんね。おじいちゃん、おばあちゃんはだいじょうぶだからね。」
と言ってくれました。わたしは、
「ありがとう。気をつけてね。」
としか言えませんでした。
 土しゃくずれを新聞やテレビで見たことはありました。でも近くで見たことはないし、同じ門司に住んでいるのに、わたしの家から見る外はいつもよりたくさんの雨がふっているけれど、ひがいはありませんでした。だから、どれだけ大へんでこわい思いをしているのかわかりませんでした。
 土しゃくずれから三日後、ひなん指示がなくなりおじいちゃん、おばあちゃんは家に帰りました。
 それからは台風や大雨がふる時は、わたしの家におじいちゃんとおばあちゃんがひなんする事になりました。おじいちゃん、おばあちゃんが家に来てくれるから、うれしくて、雨がふらないかなと何も考えず思っていました。
 わたしがおじいちゃんの家に遊びに行けたのは十一月に入ってからでした。はじめて見る土しゃくずれは、こわくて、おそろしくて足が動きませんでした。いつも見ていたやさしくてあたたかい山ではなくて、土がむきだしになり、今にもまたおそってきそうな山にかわっていました。
「どうかこのままくずれないで。もう大雨はふらないで。」
と、心の中でおねがいをしました。
 この時、自ぜんのこわさを知り、ふつうにくらせている大切さがわかりました。そして、おじいちゃんとおばあちゃんが生きていてくれて本当によかったと思いました。わたしにとって九才のたん生日はわすれられない、わすれてはいけない日となりました。

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