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「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2017年度 第53回 受賞作品

日本農業新聞賞

たった一つの願い

粕屋町立  大川小学校4年井田 渚沙

 お正月、鹿児島のおばあちゃん家に遊びに行ったとき、病院からたい院して来たばっかりのおばさんが駅までむかえに来てくれました。

「元気にしてたかな。」

おばさんはニコニコした顔で、私にききました。

 夏休みに会ったときは、病院のベッドの上で苦しそうにねていたので、元気そうな顔を見て、私はホッとしました。

「ぼうしを取ってもいいかな。」

おばさんがはずかしそうに私に言いました。

「おどろかないでね。」

急におばさんから言われたけれど、私は何のことを言っているのかが、よく分かりませんでした。

「うん。」

とだけ答えました。

 おばさんは、かぶっていたぼうしを取りました。私は、すぐになぜおばさんがそう言ったのかが分かりました。かみの毛がほとんどなかったからです。強い薬のせいで、かみの毛がぬけたのだと教えてくれました。

「神社に行ったら、お願いごとは決まっているかな。」

おばさんがきいてきました。私はまだ決まってなかったので、反対におばさんにきいてみました。

「おばさんは、何かほしいものがあるの。」

すると、おばさんは、

「私の願いごとは、今まで通りのふつうの生活がしたい。」

と、答えてくれました。ふつうに家事をして、ふつうにご飯を食べて、ふつうにねられることだと教えてくれました。

 私は、ご飯を食べたり、ねたり、遊んだり、毎日あたり前にしている生活が、どんなに大切なのかを知りました。

 今年の三社参りでは、おばさんのたった一つの願いがかないますようにとだけお願いしました。

 おばさんの病気が治って、元気になってくれることが、私のたった一つの願いごとです。

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