ホーム > 小・中学生作文コンクール > 過去の受賞作品

「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2016年度 第52回 受賞作品

福岡県知事賞

祖父の牛乳

福岡市  春吉小学校5年厚地 歩芽

「おじいちゃん、これからもおいしい牛乳とどけてね。」

 私の祖父は私が生まれるずうっと前から牛乳配達の仕事をしています。家でも学校でもみんなが飲んでいる牛乳が私は大好きです。その牛乳を祖父は毎朝四時に起きて色々な家に届けています。でも、最近、牛乳を飲む人が減って配達する数がずい分少なくなったそうです。実際学校でも牛乳嫌いの人が増えた気がします。それでも祖父は一人でも飲んでくれる人がいるかぎり牛乳を届け続けるそうです。今、祖父の配達先のほとんどは高れい者だそうです。だから近い将来祖父の仕事はなくなることがあるかもしれません。私はもっと牛乳の良さが多くの人に伝わることを願っています。

 ある日、祖父がいつも通り配達をしていると、飲まれていない牛乳がポストの横にありました。祖父はいつもと様子がちがうので心配でたまらなくなり、家を開けてもらうようたのみました。そこには、長い間毎朝祖父の牛乳を楽しみにしていたおじいさんがいました。おじいさんはたおれていました。祖父は急いで救急車をよび、おじいさんの命は助かりました。もし祖父が牛乳を届けていなければ、一つの命がなくなったかもしれません。九十才のおじいさんは祖父に牛乳だけでなく命のたすきを届けられたのかもしれません。祖父の話を聞いて私はただの牛乳配達をしている大好きな祖父から、人の命を救うヒーローに思えました。

 祖父は、博多の町を昔からよく知っています。どんたくや山笠に毎年参加し博多の町をもり上げています。でもそれだけではありません。誰がどこにいて、何をして過ごしているか、どこに何があるか、こまった人がいないかを何でもお見通しです。きっとそんな祖父になれたのは、毎朝どんな時でも一日も休まずに牛乳配達を続けて来たからだと思います。祖父も今年で七十八才になります。毎日たくさんの人に牛乳を届けた祖父の手はぶあつくてたくましいけれど、しわしわで少しつかれているように見えます。祖父がいつまで牛乳と命のたすきを届けることが出来るかなと思うと、私も何か行動しなければいけないと考えるようになりました。まずはクラスの友達に一人でも牛乳嫌いの人がいなくなるように牛乳の栄養を伝えたり、祖父の話をしたりしたいと思います。そして、祖父の体を大切にいたわってあげたいと思います。

 何十年もの間牛乳配達をしてきたおじいちゃん、みんなに牛乳と思いやりを届けてくれてありがとう。いつの時代になってもおじいちゃんが届けてくれた大切なもの、大切につないでいくからね。

ページ上へ