2016年度 第52回 受賞作品
福岡県知事賞
けやきさん、ありがとう。
北九州市 八幡小学校3年中村 ゆい
わたしの学校には、大きな大きなけやきの木があります。いつも、わたしたちのことを見守ってくれています。わたしは、このけやきが大好きです。
けやきさんは、春になると、やわらかい若葉をいっぱいつけます。夏、遊んだあとにけやきさんの下に行くと、とってもすずしかったです。秋には、落ち葉がきれいで、見とれてしまいました。でも、落ち葉が多すぎて、けやき当番を作って、みんなで落ち葉をかたづけました。そして、冬。かれ葉がみんなちって、はだかんぼうになりました。雨がふったあとは、しずくがきらきらして、とってもきれいでした。
けれど、ある日、放送で校長先生の話がありました。けやきの木がたおれるかもしれないので切るということでした。とってもとってもショックでした。うそだと思いました。でも、本当でした。
次の日の昼休み、けやきさんに手紙を書いて、木のみきにはりました。「今までありがとう。ゆいより」と書きました。そして、けやきさんにだきつきました。
四年生が、けやきさんへのメッセージボードを作りました。わたしはすぐに、「けやきさんのこと、わすれないよ。」と、メッセージカードにかきました。
十一月二十二日に、けやきさんとのお別れ会がありました。全校で「けやきの歌」を歌いました。気持ちをこめて歌いました。すると、「天からふってくるよ。」という歌詞のところで、けやきの葉が、いっせいにひらひらとまうように落ちてきました。みんなは、
「けやきのきせき。」
と言いました。わたしは、けやきさんがわたしたちの歌を聞いて、感動したのだと思いました。
おわかれ会のあと、小さな葉っぱをひろって、名札に入れました。そして、ぎゅうとだいて、心の中で、
「けやきさん、今までありがとう。」
と言いました。けやきさんは、これからもずーっとずっと、わたしたちの学校の宝物です。