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「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2022年度 第58回 受賞作品

RKB毎日放送賞

島でくらすということ

宗像市立  大島学園(後期課程)1年福崎 未空

 私が住むところは、人口五百人程度の大島というところです。大島と聞くと何を思い浮かべるでしょうか。新鮮な魚が採れる自然豊かな島でしょうか。それとも、世界遺産を守る島でしょうか。確かに、どちらも私が住む大島を表すのに、ぴったりです。私たち生徒は、五月になればもずくを採ったり、夏になれば堤防から海に飛び込んだりして遊びます。私たちの生活にとって、海は身近な存在です。また、島には、沖津宮遥拝所や、中津宮があります。沖ノ島は世界遺産として登録されて、世界遺産を守る島としても認識されています。私たちにとっても、誇らしい気持ちでいっぱいです。そんな大島のイメージですが、島でくらす私たちからみると、少し違った島がみえてきます。それは、少子高齢化が進んでいることです。私たち大島学園の生徒数は、全員で四十二人です。この島では、私たちの力が島の力になります。そんな私たちは、先生のある一言で島の課題にぶつかりました。
「この間、防災訓練があったけど、本当にあの防災訓練で島の人を守れるのかな。」
そう言われて、私たちは大島の防災について不安になり、防災を深く考えることにしました。
 私たち七年生は十人います。そこに六年生も参加してもらい、十二人で防災について考えることにしました。そもそも、私たちが行っている防災訓練は、生徒が校舎から避難するというものでした。けれども、災害はいつ起こるか分かりません。家にいる時に起こるかもしれません。そして、私たちの島は漁師で生活をしている大人が多く、もし日中に災害が起きても、子どもたちだけで避難しないといけません。さらには、少子高齢化が進み、高齢者も多いので、私たちにできることを自ら行う必要があります。そこで、私たちは三つのことに取り組みました。
 まず、大島の各区ごとのマップを見てみました。
「どこの道を通ると危ないかな。」
「ねえ、手分けして私たちが高齢者を迎えに行くのはどうかな。」
マップを見ていると、できることがみつかってきました。マップを見て、安全な道を知ること、高齢者の家に行って迎えに行くことが決まりました。そして、実際に区ごとに分かれて、見に行くことにしました。すると、防災という視点をもつだけで、危険な場所や道、物などが見えてきました。それを、私たちはクロムブックで写真を撮って共有し合いました。こんな場所があったのか、と驚くことばかりでした。住んでいる私たちは、当たり前の道でしたが、そうではないということを知りました。
 次に、もし災害が起きたら何が必要なのかを考えました。すると、先生から
「学校には備蓄倉庫があるよ。知ってた?」
と言われました。私は、存在は知っていましたが、中に何が入っているのかまでは知りませんでした。皆もそうだったらしく、中を見てみようということになりました。備蓄倉庫には、食料、水、発電機、テント、簡易トイレ、エアーベッドなどがありました。私は、初めて見るものもあったので、知ることで実際に使えるから見て良かったと思いました。特に、簡易トイレは、ダンボールで組み立てられることに驚きました。また、百キログラムまで重さに耐えることができるそうです。防災時には、水が出ないことも考えられるし、誰もが使える必要があります。私は、当たり前のことができなくなることに、改めて気づかされました。
 ここまで実際に動いてやってみて、私たちだけが学べばいいのかという疑問が出てきました。だから、私たちは防災訓練の際に、地域の人や大島学園の生徒に、備蓄倉庫のものが使えるように教えることになりました。そして、高齢者の方にも避難訓練に参加してもらうためには、私たちと一緒に避難をしてみたらよいのではないかということになりました。島全体で行う防災訓練です。
 いざ、防災訓練になると、島中にサイレンが響きました。私たちは、学校の校舎ではなく、家から避難します。そして、学校に向かう途中で自分の区域の高齢者の方の家を訪ねました。行きながら、たくさんお話をしました。そういえば、「地域の方とこんなにお話する機会が減ったかもな」と、しみじみ思いました。小学生の時は、たくさん話すことがあったのに。
 体育館に着くと、簡易トイレやベッドの使い方を説明しました。地域の方にも、興味をもって体験してもらえました。私たちが教えて体験してもらうことで、もし大島に災害が起きたとしても大丈夫だと思いました。
 こうして、防災訓練を終えたあと、また課題が出てきました。地域の方との交流を増やす必要があるということです。私たちは、大島という島でくらしています。これからは、島の人々とのつながりを大切にし、もっと島のためにできることをやっていきます。そして、島でのくらしを維持していくことが、私たちに課せられているので、たくさんのことを学んでいきたいです。

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