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「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2023年度 第59回 受賞作品

日本農業新聞賞

エンブレムの星を増やせる選手に

那珂川市立  安徳小学校5年神代 彩緒衣

 十一月四日、国立競技場で歴史が動いた。おさないころから応援し続けてきた、アビスパ福岡が、クラブ史上初の優勝をなしとげたのだ。ぼくはその瞬間、歓喜に包まれた国立にいて、共に喜びを味わうことができた。
 ぼくは、アビスパの下部組織である、ジュニアチームに所属している。今回の大会は、チームの活動として観戦することとなり、目の前で、アビスパトップチームの優勝をみることができたのだった。
 決勝当日。今までに聞いたことのないほどの大声援に、鳥はだがたった。対戦相手の浦和サポーター六万人に対して、ぼくたちアビスパのサポーターは一万人。この数字は正しいのかと疑うほどのアビスパサポーターの声援に、おどろきと同時に緊張感が増した。
「勝てるのだろうか」小さいころからアビスパの試合を見てきたぼくは、経験したことのない大声援と熱気、その場の異様なふんいきに、のまれてしまうのではないかと不安が大きくなってしまった。これまで、アビスパは、一点もとれないことや、J1のリーグへ昇格できないことが続いた。やっとの思いでJ2から昇格してもすぐに落ちてしまうこともあった。長い間、大事なときに勝ちきれないということがあったので、アビスパのエンブレムには、星が一つもない。エンブレムの星は、年間リーグ、ルヴァン杯、天皇杯の三つの戦いの優勝チームのみがつけられる。
 しかし、ぼくの不安は、試合開始五分の先制ゴールといっしょに消え去った。その瞬間立ち上がり叫び、思わず同じジュニアチームの友達とだきあった。次に得点したのは、またもアビスパだった。アジア大会で優勝経験のある強ごう浦和相手に、二点も決めるなんてびっくりした。
 後半一点を返されあせりが出た。でも、アビスパの選手たちは、切り替えてよりハードワークをし、球際でもねばり強くプレーして見事に優勝を手にした。そして、チームのエンブレムに星が一つついた。
 なぜ、アビスパはあの圧とうされるふんいきの中でも力を出し切り、クラブの歴史を動かすことができたのだろうか。それは、「コミュニケーション」をしっかりとり合っていたからだと思った。
 大声援で声をかけ合っても通りにくい状きょうだったけど、選手はあきらめずに伝え合っていた。アイコンタクトやジェスチャーなどを使って、とにかくおたがいの考えや思いを伝えていた。伝え合い、理解し合ってプレーしたことで、一人でなく一丸となって戦い優勝したのだと感じた。
 ぼくは、ジュニアチームでキーパーをしている。キーパーはだれよりも周りを見て声を出し、ゲームメイクをする。状きょうが不利なときこそ、チームのコミュニケーションをうながし、伝え合うことをあきらめてはいけない。だから、常に意識して声を出し、率先してコミュニケーションを図るよう心がけてきた。この優勝でより強く伝える大切さを学んだので、これからもたくさん努力していきたい。そして、エンブレムの星を増やすことのできる選手になっていきたい。

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