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「JA共済」小・中学生
作文コンクール

2011年度 第47回 受賞作品

全共連福岡県本部長賞

老人ホーム訪問で考えた事

福岡市  福岡雙葉小学校6年永田 紬

 私は玄洋荘という老人ホームに行った。お年寄と一緒にお手玉やあやとりをする事になった。お年寄の相手を一人でするのは勇気がいるので、二人組でしたがる人がたくさんいた。私はがんばって一人でやってみたが、きん張のあまり自分の名前を言うのも忘れていた。後ろの列に座っていたおじいさんの多くが、相手がいなくてさびしそうだった。私は気になって、「一緒に遊んでもらえませんか。」と声をかけたかったけれど、無視されるのがこわくて声をかけられなかった。お年寄には何をしたら喜んでもらえるのだろう。

 私の祖母は訪問介護の仕事をしている。一人暮らしのお年寄は、一人では買い物や食事、お風呂に不自由しているらしい。でも、住み慣れた家で暮らしたいとみんな思っている。少しの手助けで自分だけで暮らせる人はたくさんいるそうだ。祖母はよく、「私が来るのを待っとんしゃってさ、なかなか帰れんとよ。」と、言っている。お年寄が求めているのは話し相手らしい。また、「これ持って帰りんしゃい。」と、畑の野菜等をくれることもあるそうだ。役に立ちたいという思いがあるのだろう。

 私の祖父は八十才になって運転に不安を覚え、車の運転をやめた。以前はよく、私の家に本を持って訪ねて来たり、終業式の日には忘れずに通知表を見に来てくれたりしたものだ。毎年川遊びに行くと、兄の昔のかわいい失敗談で盛り上がるのが恒例だった。でも今はずっと家にとじこもって、庭で野菜を作っている。つえを持つようになり、足こしも弱ってきているようだ。少し色あせたアルバムでは、今より少し若い祖父母が赤ちゃんの私を抱っこして笑っている。

 今年のお盆は姉の合宿や兄の試合等で忙しく、母が、「仏様にお参りだけさせてください。」と、言ったら、「おごちそうを食べさせてやろうと思ったのになぁ。」と、祖父はとってもがっかりしていた。私達と食事をするのをとても楽しみにしていたのだろう。

 私も春には中学生になり、部活や勉強で忙しくなる。私達はやることが多くなり過ぎて、お年寄から色々な知恵を学ぶ機会を失っている気がする。命には限りがある。私の誕生を喜び、ずっと成長を見守ってくれた祖父母と過ごす時間はあとどのくらい残されているのだろうか。老人ホーム訪問は、これから自分が祖父母とどのように接していくのか、考えさせられる一日だった。

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